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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十七章―密やかに存在するもの―#3
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「正直、創った私も完全には理解できていないんですが───分析した限りでは、この指環によって、どうもレド様と私の魂魄の一部───【技能】を使うにあたって司る部分を【(シンクロナ)(イゼーション)】させるとのことでした」

「【技能】に限定したはずが、能力や魔法、神聖術にまで、及んでいるということか?」
「そういうことだと思います。やはり、先程の【最適化(オプティマイズ)】が原因でしょうか…?」
「おそらく、そうだろう。とりあえず、いつものアレで視てみるか?」
「そうですね…。私が分析してみます」

 私は、【心眼(インサイト・アイズ)】を発動させて────私とレド様の指環を視る。


【つがいの指環:ルガレド・リゼラ専用】
 【神子】であるリゼラが、持てる力を使って、最愛の主ルガレドのために創成した指環。お互いの【技能】【能力】【魔法】【術】を【共有】することができる。ただし、【固有能力】など、性質にそぐわないものは、【共有】できない。【永遠の約束(エターナル・リンク)】と一緒につけている限り、【運命】と【寿命】をも【共有】できる。


「…っ」

 その最後の一文を目にして────私は息を呑んだ。“運命”と“寿命”をも“共有”できる…?

 この“共有される運命”というのは、私とレド様のどちらの運命が優先されるのだろう。

 もし───レド様の“一度目の人生”と同じような悲惨な───あの結末が、レド様の“運命”として定められているとしたら────これで回避できるのだろうか。

 それとも────私もその運命に引き摺られて、一緒に悲惨な末路を辿るのだろうか…。

 そこまで考えて────思考を止める。ジグとレナスに事情を打ち明けられた後、レド様を目の前にして、心に誓ったあの決意は────今も私の胸の中にある。

 そうだ───私のやるべきことは変わらない。お傍にいて、レド様を護り抜く────それだけだ。

「リゼ?」
「いえ…、すみません。いつものように───あまりにもアレな結果だったので…。やはり、【固有能力】や性質にそぐわないもの以外は、共有できるみたいです。それから───【永遠の約束(エターナル・リンク)】と一緒につけている限り、運命と寿命まで共有できるようです」
「寿命まで?────それはすごいな…」

 レド様は私の言葉を聴いて、物凄く嬉しそうに────幸せそうに笑みを零した。

「リゼと…、死ぬ瞬間まで────いや、死すら共にできるなら…、こんな幸せなことはないな」
「私も同じです、レド様」

 貴方と最期まで共にできるなら────きっと、その瞬間すら幸福だ。

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