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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十七章―密やかに存在するもの―#2
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いですから」

 心配そうに、レド様、レナス、ジグがそう言ってくれるが────

「ですが…、もう辞令式まで2ヵ月を切ってしまいましたし、やれることはやっておかなければ…。寿命は延びましたが────私たちの現状は変わっていないのですから」

 そう応えると、何故か────アーシャ以外、皆一様に動きを止めて、眼を見開いた。

「そうだな────リゼの言う通りだ…」

 レド様が後ろに流した髪をかき上げ、息を吐く。

「だが、リゼ────無理だけはしないでくれ」
「はい、レド様」

 いつものように物凄く心配そうなレド様に────いつものように嬉しくなりながら、私は笑みで返した。


◇◇◇


「よう、リゼ。今日は一人なのか?アレドは?」

 冒険者ギルドに顔を出すと、カウンターの向こうで、ガレスさんとバドさんが立ち話をしていた。

「おはようございます、ガレスさん、バドさん、セラさん。アレドは所用があるので、今日は私一人で狩りに行って来ようかなと思って」

 レド様は、例のごとく、ロルスの授業だ。

 心配性なレド様はジグとレナスを私につけ、自分はラムルにドナドナされていったけど────今日は珍しく悲愴な感じではなかったな。何だか、とてもやる気に満ちていた気がする。

「それと───そろそろ、“膨張期”ですし、ギルドの方針を確かめておきたいと思って」
「そうだな。それなら───応接室(うえ)で話そうか」

 2階の応接室で、ガレスさんと向かい合って座る。

 バドさんは、昨日持ち込まれた解体の仕事があるとのことで、作業場に戻っていった。

「さて、“膨張期”の件だが────」

 “膨張期”とは、魔素が増大する時期のことだ。

 どういう因果関係があるのか───新年度の始まりである三つの月が揃って昇る日は、一年で最も魔素が充満することが判っている。

 それに伴い、その日を挟んだ前後数ヵ月は魔素が増大するのだ。

 当然、魔素が増大すれば、その分だけ魔獣も出現しやすくなる。その上、魔素が増えるのを見計らって、魔物たちが繁殖を始める。

「ギルドの方針としては、昨年と同じだ。“神の(きざはし)”の麓3ヵ所に拠点を築き、“大掃討”を行う」

 “神の階”とは、“死界”と呼ばれる不毛の大地とこの国を含む国々とを分かつ、天高く聳える山脈のことで────神々の新たな楽園である天に通じると謂われている。

 この時期、魔物が何処からともなく現れ集落を築くのだが、どうもこの“神の階”から魔物が広がっているようなのだ。

 すでに魔物が増え始めているが、例年通りなら、これから爆発的に増えるはずで────大陸中に魔物が広がり、繁殖または魔獣化する前に、叩いてしまお
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