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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十七章―密やかに存在するもの―#1
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れは、いざという時に有用ですし、それだけでなく────これがあれば、ちょっと空いた時間に用事を済ませたりすることもできますし。
それに───作業中とか忙しいときとか、時間を確認するのに便利かなと思いまして」

 カデアには───前世の母が自分の祖母から譲り受けたという腕時計をモデルにした、スクエアタイプ───縦長の長方形の時計に、金属を細かく編み込んだような───確か“メッシュ”といったと思う───バンドの黄色がかったゴールドっぽい華奢な腕時計。

 ラムルには───前世の父が欲しがっていたブランドものの腕時計をモデルにした、大きな円い“ステンレス”っぽいケースに黒い文字盤が施された時計に、同じく黒い革のベルトの腕時計。

 ジグとレナスには───前世の兄が欲しがっていた“スポーツウォッチ”をモデルにした、ケースもベルトも黒い“シリコン”っぽい素材のごついフォルムの腕時計。

 アーシャの場合とは違い、リューズを4つに増やしてある。

 ジグとレナスは立場上、印象操作や変装をしなければならないが、それらは化粧で施しているらしく、今は支給品───古代魔術帝国製の化粧品を使用しているので、化粧をしている状態ごと替えることができるはずだ。

「装備の登録の仕方は、アーシャのものと同じです。登録したい格好に着替えて、摘まみを長く押し続けて、光が収まったら、登録終了です。
それと一応、【認識妨害(ジャミング)】の機能も施してありますが、対象は『レド様、私、私たちと契約した者以外すべて』で固定されていて、変更はできません。
認識妨害(ジャミング)】は、範囲拡大状態で大体1日ほど行使できます。動力である魔力は、自動的に周囲の魔素を取り込んで補充するようになっていますが、緊急の場合は、自分の魔力で補充することも可能です」

 皆、私の説明に『なるほど』などと頷いてはいるが、腕に着けた各々の時計をアーシャのように翳してみたりして、興奮状態だ。意外なことにカデアまで、興奮している。

 まあ───喜んでくれているみたいだから、良かった。


◇◇◇


「アーシャ───もう一つ、渡しておきたいものがあるの」

 未だにはしゃいでいるアーシャを呼び止め、私は、【遠隔(リモート・)管理(コントロール)】で、アーシャのために創った武具一式を取り寄せる。

 双剣に始まり───短剣、ナイフなど暗器一式だ。

 アーシャは、侍女になるにあたって、ラムルとカデアから対人戦の戦闘に関しても教授を受けている。

 自分の腕時計に興奮していた他の皆も、私がまた違うことを始めたのに気づいて、こちらに意識を向けた。

「一つではないですね」

 …ジグさん、そういう突っ込みはいらないです。

「これは…?」


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