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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十七章―密やかに存在するもの―#1
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人前のアーシャが、希少品である魔玄を身に着けているのは、やはり不自然に見えるのでやめた。

 まあ、魔玄はほんの一部に出回っているだけなので、レド様のように魔玄を見て触れたことがある人にしか、一目で魔玄だと判ってしまうことはないけど、念のためだ。

 でも、インナーや下着は魔玄製にしてある。

「装備にかけてあるのは…、エルフの固定魔法【静止】ではなく───【防衛(プロテクション)】か?」
「はい。【静止】は劣化を防ぐだけで、強い衝撃には弱いみたいなので、武具や防具にかけるには向いていないようです」

 レド様の質問に答えてから、私はアーシャに向き直る。

「それじゃ、アーシャ───さっきの摘まみを、軽く押してみて」
「うん、解った」

 アーシャがリューズを押すと、腕時計から発せられた光がアーシャを包み込んだ。

「すごい、元の服に戻った…!」

 アーシャの格好は、先程の侍女服に戻っていた。

 よし────うまく機能しているみたいだ。

「さっき、摘まみを強く長く押したでしょ?あれで、その格好を時計に登録したの。この石とその石にも、同じように登録できるからね。登録はさっき摘まみにしたみたいに、石を強く押し続けるとできるから。
普段着とか、寝間着とか、好きな格好を登録しておいてね」
「うん、ありがとう、リゼ姉さん!」

「それからね、これ濡れても平気だし、ちょっとの衝撃では壊れたりしないようにしてあるから、付けっ放しにしておいて。
それと、時計に仕込んだ【認識妨害(ジャミング)】が常に発動していて、私たち以外はこの時計を認識できないようになっているんだけど────アーシャ、ちょっと、時計のガラス部分を押してみて」
「うん」

 アーシャが時計に指を置いて力を入れると、文字盤部分が覆っているガラスごと、へこんだ。

「これで、【認識妨害(ジャミング)】の範囲が拡大して────時計だけでなくてアーシャ自体も、周囲から認識されなくなるの。この状態なら、服を替えるのに光っても認識されないから、誰かから追いかけられたりしたときは、これでやりすごして逃げるんだよ?」
「うん、解った。時計を押してから、着替えればいいんだね?」
「そう。もう一度押せば、元に戻るから」

 アーシャが頷いたのを見て、どうやら理解してもらえたようだと安堵する。

 これで────少しは安心だ。

 私は、創っておいたタイプの違う腕時計を4本、新たにアイテムボックスから取り寄せると、見物している───ジグ、レナス、ラムル、カデアにそれぞれ渡す。

「これは、貴方たちの分です」
「我々の分もあるのですか?」
「ええ。皆、【換装(エクスチェンジ)】は使えるけど、装備を登録することはできないでしょう?こ
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