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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十六章―真実の断片―#5
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なお気遣いは無用です。私どもは、旦那様とリゼラ様に永くお仕えできるのならば────本望だと思っております」
「私たちは───坊ちゃまとリゼラ様をお護りするためならば、どのようなことも厭いません。それに、ジグの言葉ではありませんが、少しでも永く坊ちゃまとリゼラ様のお傍にあれるならば────こんな嬉しいことはありません」

「ラムル…、カデア…」

 ああ────この二人は、8年という年月を経ても、レド様への忠義を少しも損なうことなく────こうしてまた戻って来てくれたのだった。

 こんな気遣いはいらなかった─────

「そうですね…。貴方たちには、これからもレド様のお傍にいてもらわなくては」

 ラムルとカデアの忠心が───レド様と私を想ってくれるその気持ちが、私には本当に嬉しくて────この二人を大事にしたいと、心の底から思えた。


 
「あの…、リゼ姉さん」

 その温かな想いを噛み締めていると────アーシャが、おずおずと私の名を呼んだ。

「わたしも…、わたしも、ずっとリゼ姉さんと一緒にいて────ずっとリゼ姉さんを護りたい」

 アーシャは、冒険者ギルドの応接室で見せた───あの決意を籠めた眼差しを私に向け、そう言ってくれる。

 アーシャの決意は疑っていない。だけど────アーシャに答えを出させるには、まだ早い気がした。

「ありがとう────アーシャ。アーシャが…、本心でそう言ってくれているのは解ってる。
でもね、私たちの“眷属”になるということは、不老───時を止めてしまうということなの。アーシャは、まだ身体が成長し切っていないでしょう。だから、今はまだ、そのままでいて────身体が成長を終えたら、私たちの眷属となるかどうか、そのときに決めよう?」

 幸い、アーシャは剣術の才能があるし、自前の魔力が多い。ジグとレナスに渡したものと同じ───魔力を循環させるピアスをつけているから、それによる身体能力強化だけでも、十分戦力となる。

 魔術は当分、使わずとも大丈夫なはずだ。

「…わかった。わたしが…、もっと大きくなったら────リゼ姉さんの“眷属”にしてくれるのね?」

 アーシャの決意は揺るぎないようで、私が作ろうとした逃げ道を塞いだ。

 私は、アーシャが私と一緒にいたい、ずっと私を護りたいという、その気持ちを嬉しく思う一方─────まだ12歳にしかならないのに、まだ狭い世界しか知らないのに、私にすべてを捧げてしまうのは早いとも思ってしまう。

 だけど、アーシャは、私のそんな考えを見透かしているようだった。

「アーシャが…、成長を終えたとき────私の“眷属”になりたいと言ってくれるのなら、“眷属”にすると────約束する」
「絶対だからね?」


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