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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十六章―真実の断片―#3
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れにしても、さっきのお話。“古代魔術帝国”ってすごい国だったんだね。前にいたところでは聞いたことがなかったから、そんなにすごい国だとは思ってなかったよ」
「え?」

 ガドマ共和国では、古代魔術帝国のことが伝わっていない…?

「全然、聞いたことがなかったの?」
「うん。前にいたところでは、神の国ガンドニエルムが滅んだあと、そんな国があったなんて誰も言っていなかったよ」

 神代の昔、神々が地上に築いた楽園────ガンドニエルム。

 神々が天に帰ることになり、地上を離れた瞬間に地の底深く沈んでしまったという。

 楽園が消え去った大陸に、天に帰る神の一柱から地上を任された一人の魔術師が、古代魔術帝国を築いた────とだけ、伝承が残っている。

 その国の名も、版図も────残っていない。

 ────ガドマ共和国には、その伝承さえ伝わっていない?
 
「リゼ?どうした?」

 レド様に心配そうに顔を覗き込まれ────私は我に返った。
 今日だけでも、色々な情報が入ってきたせいか、何だか頭が重い。

「あ、いえ…。レド様も、ドライフルーツいかがですか?」
「ああ、もらう。リゼのドライフルーツは美味しいからな」

 レド様の嬉しそうな笑顔を目にして────少しだけ頭が軽くなったように感じた。


◇◇◇


「リゼ、どうしても行くのか…?」
「はい」

 エントランスホールの【転移門(ゲート)】の前で、レド様は、まるで、私がお邸を出て行ってしまうかのように悲しそうに言った後、私の意思が覆らないと知ると────険しい表情になり、レナスに向き直る。

「レナス、任せるからな。決して、あの鳥野郎の好きにさせるなよ?」
「は、お任せください。必ずや、あの鳥からリゼラ様を護ってみせます」
「頼んだぞ」

 …用事があって孤児院に行くだけなのに、大仰(おおぎょう)過ぎやしないですか、二人とも。


 レド様は、今日もロルスによる授業だ。

 私の方は、今日は孤児院に行き───昨日会得した【結界】を張ろうと考えている。

 私の場合、補佐官の仕事は、辺境に行ってからでもラムルに学ぶことができるので、ロイドの授業は、時間があるときだけ受けさせてもらっている。

 孤児院に設けた【転移門(ゲート)】へと跳んで、北棟に足を踏み入れた直後────弾丸のごとく真っ白いものが胸元に飛びついてきたので、私は反射的に受け止めた。

<我が神子よ、待っておったぞ…!>
「え?白炎様?」

 姿かたちは確かに白炎様だけど、大きさが“オウム”くらいに変わっている。

「どうなさったのですか、そのお姿は」
<大きいと、其方にくっついていられないからな。頑張って、変化(へんげ)
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