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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十六章―真実の断片―#3
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の存在から(かんが)みて、古代魔術帝国は軍事に力を入れていたようだということ────

 この世界には“記憶持ち”が存在するのに、古代魔術帝国の詳細どころか名称すら伝わっていないのは、もしかしたら意図的に情報が消されたのではないかということ────

「なるほど…。確かにそれは疑問ですな」

 ラムルが、眉を(ひそ)めて顎を(さす)る。

「ああ…、それで、リゼラ様はエルフが里を捨てたのが、1600年前───古代魔術帝国の時代だと知って、考え込んでいたんですね?」
「ええ。古代魔術帝国が軍事に力を入れていた理由と───エルフが里を捨ててまで何処かへ行ってしまった理由が関連があるとしたら────あの時代に何があったのかと考えてしまって…」

 私が、疑念というより────微かな不安を伴う疑問を零すと、皆は静まり返った。

「まあ、これは───俺たちの杞憂かもしれない。だけど、気には留めておいて欲しい」
「解りました」

 レド様の言葉に────ラムルが応え、他の皆も神妙な顔で首肯した。


 話が一通り終わると、締めがすっきりしない話になってしまったせいか、何だか重い雰囲気が漂っている。

「お茶を淹れ直そうと思うのですが、皆も一緒に飲みませんか?」

 私が提案すると、真っ先にレナスとアーシャが頷き、他の面々も頷いた。
 ────レド様以外は。

「リゼ…、話も終わったし、解散で良くないか?」
「ルガレド様は、リゼラ様と二人きりになりたいだけでしょう」
「お茶くらい、させてくださいよ」
「お前らは、今日一日リゼの傍にいられたのだから、それで満足だろう。俺は、二人きりどころか、傍にもいられなかったんだぞ」

 何か、ジグとレナスが、こうやってレド様を揶揄う光景もお馴染みになってきたな────と思いながら、私はお茶を淹れる。

 ついでに、ドライフルーツを取り寄せて、テーブルの真ん中に置いた。

「わあい、リゼ姉さんのドライフルーツだ。もらってもいい?」
「どうぞ」

 はしゃぐアーシャが可愛くて、笑みが零れる。

 アーシャは、最近、こうして身内だけでいるときは、口調と呼び方を無理に正そうとはしなくなった。

 仕事をきちんと熟すことが第一で、言葉づかいや態度はきっちり使い分けが出来ればそれでいい、というのが、ラムルとカデアの───というよりファルリエム辺境伯家の方針らしい。

 その代わり、人前で粗相をしたときは物凄く厳しく叱っていたけど。

「リゼ姉さんのドライフルーツは、みんなが作るのより美味しいよね。何でかなあ?」
「そうなの?」
「うん。それに、見た目もキレイ」

 もしかしたら、例によって魔法を使って作っているせいかな…。


「そ
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