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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十六章―真実の断片―#2
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 え────シャツ?

 カデアに言われて、反射的に自分のシャツを見て、一気に眠気が吹き飛ぶ。シャツが胸元まで(はだ)けている。

 レド様たちがフリーズしたわけが解って────恥ずかしさで頭が沸騰しそうだ。

「す、すみませんっ、こんな───見苦しい格好を…!」

 きっと、寝苦しくて、無意識にボタンを外しちゃったに違いない。

 急いでボタンをかけ直し───いつもは留めない第一ボタンまで、きっちり留める。

「あ、あの、それで、一体、何があったんですか?」

 何この状況────正座させられているレド様、ジグとレナスが、仁王立ちしたカデアに怒られている?

 この世界に“正座”はないはずなのだけど、怒られるポーズは何処の世界も同じようになってしまうのか────正座にしか見えないんだよね…。

 それにしても───レド様もジグもレナスも、一体何をして、カデアに怒られているのだろう?

「リゼラ様、申し訳ございません…。私の育て方が悪かったばかりに、坊ちゃまが…、眠るリゼラ様に無体を────」
「ええっ?」

 レド様が、眠る私に無体?────いや、無体って何?
 大体、何かされたら、さすがに私だって目が覚めると思うけど。

 あれ───でも、レド様にキスされる夢を見ていたような────もしかして、あれ、夢じゃなかった…?

 思い当たって、私は安堵した。キス程度────とは思わないけど、された相手はレド様だし、初めてというわけでもないし。

 別に、カデアが言うほど深刻なことではない気がする。

「カデア、謝る必要はないですよ。眠ってしまった私も悪いんですから。だから、レド様をそんなに責めないでください」

 ね───と笑いかけると、カデアは般若のような表情を和らげることなく、レド様の方を見遣った。

「…坊ちゃま?坊ちゃまは、こんなにお優しいリゼラ様に、無体を働くところだったのですよ?」
「ああ、反省している……」

 あれ───何故かレド様がもっと責められる破目になってしまった。
 レド様も、悲壮感を漂わせて───項垂(うなだ)れている…。何で?

「とにかく────坊ちゃまは、しばらくリゼラ様に近寄ることは禁止です!」
「え、それは私が嫌です」

 カデアの宣言に、思わず口をついて出た。

「カデア、先程も言った通り、眠ってしまった私も悪かったんですから。それに、私は婚約者である前に、レド様の親衛騎士ですよ?近寄らないわけにはいかないでしょう?」
「はぁ…、解りました。リゼラ様にそこまで言われては、折れないわけにはいきません。で、す、が!坊ちゃまは、大いに反省するんですよ?」
「ああ、反省する。リゼに近寄れないことの方が、耐えられないから
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