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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十五章―それぞれの思惑―#4
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「ええ、お約束いたします。ですから、そんなに寂しがらないでください」

 白炎様のその様子に、私は笑いを零す。こんなに神々しい容姿なのに、本当に幼子のようだ。思わず手を伸ばして、頭を撫でてしまった。白炎様はそれが気持ち良いようで、眼を細める。


───本当はついて行って、其方の傍にいたいが───
───あの邸は、ガルファルリエムの小僧の神気が充満しているからな───
───我には居心地が悪すぎる───
───なあ、我が神子よ───
───戻らずに、ここに住まぬか?───
───ガルファルリエムの小僧には、たまに会いに行けば良いのではないか?───


 背後から伸びた大きな手が、白炎様の頭を掴み────私から白炎様を引きはがした。

 デジャヴュを感じながら振り向くと、そこには、案の定、怒りを湛えるどころか身に纏っているレド様が立っていた。

「…リゼの優しさにつけ込むなと言ったはずだ────この鳥頭が」

 白炎様は羽根や足を振り回してもがいて、レド様の手から逃れて────再び私の腕に留まろうとしたが、それより早く、レド様が私を後ろから抱き寄せた。

 悔し気にする白炎様に、レド様は満足そうに笑みを浮かべる。

 白炎様は仕方なく、ジグの頭の上に留まった。ああ───ジグがまた微妙な表情になってる…。


───ふん。今日のところは仕方がない───
───諦めてやろう───
───それでは、我が神子よ───
───我は深淵へと戻るとする───
───また逢おうぞ───


 白炎様は悔し気な雰囲気のままそう告げて、まるで存在が(ほど)けるように────姿を消した。どうやら、深淵に帰られてしまったようだ。

「念のため、迎えに来て良かった。あの鳥野郎め…」

 私を抱き締めたまま、レド様は呟く。うぅ、レド様の温もりが───皆の生温かい視線が、私を苛む…。

「レ、レド様、早くお邸へ帰って、お昼ご飯にしましょう?」
「……………」
「レド様?」
「…昼食より、リゼとこうしている方がいい」
「な───何言っているんですか…っ」

 あ、待って────皆、私たちを置いて、帰ろうとしないで…!

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