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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十五章―それぞれの思惑―#4
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なデスクとイスがあったはずだ。

「では、書庫へまいりましょう」


 デスクの大きさの割に、イスは1脚しかなく、結局、私一人が座る破目になってしまった。ラムルとジグは正面に立ったままなので、何だか落ち着かない。

 私の頭には白炎様が張り付いているので、(はた)から見たら、かなりシュールなことになっていると思うけど。

「ラギとヴィドはどうでしたか?」
「そうですね。二人とも、アーシャほどの才能はありませんし、まだまだ修行も経験も足りてはいませんが、見どころはあると思います。何より───リゼラ様を本当に慕っております。修行次第では、良い騎士となるでしょう」

「そうですか…。────レド様には許可をいただいているのですよね?」
「はい。古代魔術帝国の技術のおかげでお邸の管理は不要ですし、旦那様の日程や経費についてはリゼラ様が管理されております。私もカデアも、現状、暇を持て余している状態です。旦那様に、リゼラ様の孤児院を手伝わせて欲しいとお願いしましたところ、快諾してくださいました」

 考えてみれば、私は通常の令嬢とは違うし───侍女の仕事もそうそうあるわけではない。執事の仕事も───ないわけではないが、8年前に比べたら少ないはずだ。

「事後承諾となってしまいましたこと、まことに申し訳ございません、リゼラ様」
「いえ、構いません。ラムルとカデアに指導してもらえることは、子供たちにとっても力となるはずですし────将来の選択肢が増えるのは喜ばしいことです。それに…、レド様には、信頼できる味方が一人でも多く必要です。今回の件は、私にとっても願ってもないことでした。
ですが────これだけは約束して欲しいのです。強要と強引な誘導だけはしない───と。ラムルなら、そんなことしないとは思っていますが…」
「約束いたします。────大丈夫ですよ、リゼラ様。そんなことをせずとも、アーシャのように、他の子供たちもリゼラ様に仕えたいと願っているとのことですから」
「え?」

「それから───私どもは“出向”という立場になります。報酬に関しましては、不要でございますので」
「ですが、それでは────」
「旦那様の厳命でございます」

 レド様…、お気持ちは嬉しいけど────私にお金を出させないことに、そこまで(こだわ)るのは何故なのでしょう…。


◇◇◇


「それでは────白炎様。また、逢いにまいりますから」

 この北棟にはダイニングがないので、お邸で昼食を摂ることになり───私は、白炎様に別れを告げる。

 白炎様は、私の腕に留まった状態で、私の首に器用に羽根を巻き付け、幼子のように縋りついている。


───本当だな?───
───待っておるからな───
───絶対だぞ?
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