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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十五章―それぞれの思惑―#3
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声を上げたりすると、すぐに苦情が寄せられていた。

 でも、これで気兼ねなく、遊んだり鍛練したりできるだろう。天候も気にしなくていいしね。

 良かった。今のところ、不具合や不満はなさそうだ。

 ミナとラギ、ヴィドに挨拶して、元待合室にいる幼い子供たちの様子を見に行こうと思ったとき────不意に、ラギが口を開いた。

「なあ、リゼ姉…。アーシャは、リゼ姉の侍女になったんだろ?」
「そうだけど…」
「それなら、オレを────リゼ姉の騎士にしてくれよ」
「え?」

 突然のラギの言葉に、私は瞬いた。ラギの表情は真剣で、冗談で言っているわけではなさそうだ。

「ボクも!ボクも、リゼ姉ちゃんの騎士になりたい…!」

 ラギに返答する間もなく、ヴィドまでそんなことを言い出す。

 どうしよう────ラギもヴィドも、本気で言っている。どう応えるべきか、逡巡したそのとき────

「ほう、リゼラ様の騎士になりたい────と?」

 後ろで静かに控えていたはずのラムルが、いつの間にか、私たちの間に割り込んでいた。

「…何だよ、おっさん。邪魔しないでくれよ」
「そうだよ」
「私は、この国の第二皇子ルガレド殿下に仕える執事だ。ルガレド殿下は、リゼラ様の主で────婚約者であられる。当然、リゼラ様も────私の主となる」
「だから、何だよ」

「私と手合わせをして勝てるようなら────ルガレド殿下に、君たちをリゼラ様の騎士としてくれるよう、頼んであげてもいい」

「えっ、ホントに!?」
「ホントかよ、おっさん…!」

 私はラムルの言葉に、眼を見開いた。

 今日、ラムルとカデアが私について来たのは、私の身を心配したレド様の指示だ。

 だけど───ラムルにとっては、これも目的だったんだ。レド様の配下を育てるには、この孤児院はうってつけだ。

 ああ、だから────あのとき、私の魔力が増大したことを確かめたのか。魔力が増えれば────それだけ【配下(アンダラー)】も増やすことができる。

 ラムルは、私が察したことに気づいたようだ。その眼が────私にどうするのか問う。

 私が迷ったのは、一瞬だけだった。

「それでは────ラムルに任せます」

 ラムルは、私がそう答えることを解っていたのだろう。うっすらと笑いを浮かべ、優雅な動きで一礼する。

「ありがたきお言葉」

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