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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十五章―それぞれの思惑―#3
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よう、ミナ。今日は、お仕事お休みなの?」
「うんっ。今日は、おかみさんの娘さんが子供を連れて遊びに来るから、お店はお休みなの」

 ミナは、お針子見習いをしている。

 この孤児院では、自分で繕いができるよう、上の子から下の子へ針仕事を教える習慣があるのだが────ミナは針仕事が好きなようで、現在は街にある小さなアトリエで修行中だ。

 貴族が利用するようなアトリエではないけれど、裕福な平民の間で根強い人気のある老舗のアトリエで、ラナ姉さんもマドラのアトリエに就職する以前に修行させてもらったことがあり、今でも仕事を回してもらったりしてお世話になっている。

「そうなの。仕事は順調?」
「うんっ。段々できることが増えてきて、楽しいっ」
「ふふ、良かった。新しい部屋はどう?不自由なところとかない?」
「あっ、そうだった…!リゼ姉さんに会ったら、お礼を言いたいと思ってたの。本当にありがとう!部屋もトイレも洗い場も、すごくいい!不自由なところなんて、一つもないよ!」

 ミナは興奮気味に続ける。

「“二段ベッド”?も寝やすいし、机も大きくて縫物もしやすいし、一人に一つずつランタンがあるのも嬉しいし、専用のキャビネットがあるのも嬉しい…!」

 使える部屋は増えたけど、それでも、一人に一部屋宛がうのは不可能だったので、基本、二人部屋だ。

 シングルベッドを二つ並べてしまうとそれだけで部屋が埋まってしまうので、前世であった“二段ベッド”を片側に造り付け、向かい側に小さめのテーブル、その両脇に一つずつ背の高いキャビネットを配置した。

 机ではなくテーブルにしたのは、勉強だけでなく、ミナのように針仕事をしたり、冒険者をしている子が装備の手入れをしたりできるようにだ。

 一応イスは二脚ずつ用意したけど、大きさ的に作業するときは、二人並んでは無理なので、そこは交代しながら使ってもらうしかない。

「それに、机の引き出しに入れてくれた鏡とか、櫛とか、化粧品とか、本当に嬉しかった…!」

 テーブルをドレッサーのようにすることも考えたけれど、切れ込みが入っていると、作業するとき気になっちゃうかなと思って、引き出しにした。

 その代わり、手鏡は少しだけ大きめにして、立てて使えるようにしてある。

 女の子が使う引き出しには、化粧品も入れておいた。といっても、荒れた肌を整えるクリームと、ほんのり色付けしてあるリップクリームだけだけど。

 これは、私のお手製だ。ラノベやゲームでいうところの“鑑定スキル”と同様の能力───【鑑識(ジャッジメント)】を験したときに、よく目にする薬草に保湿成分があることが判って、作ってみたのだ。

 効果があることや人体に害がないことは【解析(アナライズ)】で判ってはいるけ
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