暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十五章―それぞれの思惑―#1
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
言いたくなさそうな表情で、レド様が答える。

「私を…?」
「本当は、かなり────かなり不本意だが…、リゼが目覚めた以上、あの“神”に会わせないわけにはいかない…」

 言葉通り、レド様は不本意そうな表情で、不本意そうに言う。

「とりあえず、朝食に致しましょう、旦那様」
「そうだな…」

 ラムルの提案に、レド様は溜息を()いて、頷いた。


 カデアが、ラムルとアーシャを伴って───孤児院のカデア専用の厨房へ、すでに作ってある料理を取りに行っている間、私はレド様と二人、ダイニングルームで待つことになった。

 カデアは、ここの厨房にあったワゴンを持ち出し、そのワゴンで料理を運んでいるようだ。カデアのために、早いところ、何かいい方法を考えないとな…。

 ちなみに、【転移門(ゲート)】はレド様か私が許可すれば、【配下(アンダラー)】も単独で使用できる。ただ、いつ何処に跳んだのか記録されるようだけど。

「二日間も何も食べていなくて、空腹なのではないか、リゼ」

 心配そうにレド様に訊かれたけれど、正直、いつもの状態と変わらない。

「ご心配ありがとうございます、レド様。ですが、いつもと変わらないみたいです。二日も眠っていたとは、自分でも信じられないくらいで」

 肌や唇が乾燥しているとか、背中が床ずれしているとか────変調を来たしている様子が微塵もない。

「…やはり、あのベッドのおかげか?────実は、リゼが目覚めないことに気づいたとき、ベッドの魔導機構が作動していたから、【解析(アナライズ)】をかけたんだ。そうしたら、あのベッドは────“自分の意志で眠ったのではない場合は、身体や精神が全回復するまで昏睡状態を維持して────その間、自動的に生命および健康を維持し続ける”とあった」
「…健康まで?」

 水分や栄養補給とか、逆に排泄とか何とかしてくれた上で、筋力などの衰えなども何とかしてくれるってこと?

 それは────凄すぎる。

 1日3時間あのベッドで眠れば、身も心もコンディションが調うというだけでも凄いのに────まさか、そこまでとは。

 上座の席から立ち上がり、レド様が私の傍らに歩み寄り、跪く。

 長身のレド様と、イスに座る私の目線が合う。レド様は私の眼を真っ直ぐに見て、口を開いた。

「本当に…、心配した────リゼ。倒れているリゼを目にしたときでさえ、血の気が引く思いだったのに────このまま…、目覚めなかったらと思うと────本当に肝が冷えた…」

 レド様はそう言って、先程と同じように顔を歪め────私の存在を確かめるように、両手で私の頬に触れた。レド様の手は、レド様の恐怖を表すかのように、微かに震えていた。

 レド様のその
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ