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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十五章―それぞれの思惑―#1
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言いたくなさそうな表情で、レド様が答える。
「私を…?」
「本当は、かなり────かなり不本意だが…、リゼが目覚めた以上、あの“神”に会わせないわけにはいかない…」
言葉通り、レド様は不本意そうな表情で、不本意そうに言う。
「とりあえず、朝食に致しましょう、旦那様」
「そうだな…」
ラムルの提案に、レド様は溜息を
吐
(
つ
)
いて、頷いた。
カデアが、ラムルとアーシャを伴って───孤児院のカデア専用の厨房へ、すでに作ってある料理を取りに行っている間、私はレド様と二人、ダイニングルームで待つことになった。
カデアは、ここの厨房にあったワゴンを持ち出し、そのワゴンで料理を運んでいるようだ。カデアのために、早いところ、何かいい方法を考えないとな…。
ちなみに、【
転移門
(
ゲート
)
】はレド様か私が許可すれば、【
配下
(
アンダラー
)
】も単独で使用できる。ただ、いつ何処に跳んだのか記録されるようだけど。
「二日間も何も食べていなくて、空腹なのではないか、リゼ」
心配そうにレド様に訊かれたけれど、正直、いつもの状態と変わらない。
「ご心配ありがとうございます、レド様。ですが、いつもと変わらないみたいです。二日も眠っていたとは、自分でも信じられないくらいで」
肌や唇が乾燥しているとか、背中が床ずれしているとか────変調を来たしている様子が微塵もない。
「…やはり、あのベッドのおかげか?────実は、リゼが目覚めないことに気づいたとき、ベッドの魔導機構が作動していたから、【
解析
(
アナライズ
)
】をかけたんだ。そうしたら、あのベッドは────“自分の意志で眠ったのではない場合は、身体や精神が全回復するまで昏睡状態を維持して────その間、自動的に生命および健康を維持し続ける”とあった」
「…健康まで?」
水分や栄養補給とか、逆に排泄とか何とかしてくれた上で、筋力などの衰えなども何とかしてくれるってこと?
それは────凄すぎる。
1日3時間あのベッドで眠れば、身も心もコンディションが調うというだけでも凄いのに────まさか、そこまでとは。
上座の席から立ち上がり、レド様が私の傍らに歩み寄り、跪く。
長身のレド様と、イスに座る私の目線が合う。レド様は私の眼を真っ直ぐに見て、口を開いた。
「本当に…、心配した────リゼ。倒れているリゼを目にしたときでさえ、血の気が引く思いだったのに────このまま…、目覚めなかったらと思うと────本当に肝が冷えた…」
レド様はそう言って、先程と同じように顔を歪め────私の存在を確かめるように、両手で私の頬に触れた。レド様の手は、レド様の恐怖を表すかのように、微かに震えていた。
レド様のその
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