暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十五章―それぞれの思惑―#1
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
着替えさせてくれたのだろう。このシュミーズはセアラ様のものに違いない。

 とにかく、着替えよう────そう思って、ベッドから立ち上がった瞬間だった。

「リゼ!」

 勢いよく扉が開き、レド様と、その後ろに控えているジグとレナスの────眼を見開いている三人と、目が合う。

「「「「…………」」」」

 あまりの出来事に、私は硬直して────思考をフリーズさせた。

「………坊ちゃま?一体────ここで…、何を────しているのですか…?」

 カデアの今まで聞いたことがない────聞いた者の肝を冷やすどころか凍らせてしまいそうな、低く凍てついた声が聞こえたような気がしたが────そのときの私は、認識することができなかった…。


◇◇◇


「その…、すまなかった、リゼ…」
「「申し訳ありません、リゼラ様…」」

 あの後────三人がカデアに引き摺られていき、一人になった私は、【除去(クリアランス)】で身綺麗にしてから、即着替えた。

 あの三人に会う勇気が出ずに────身悶えること数十分。ようやく気持ちを切り替えることができて、部屋から出て厨房へ赴いたのだが────

「いえ、私はまる二日も眠っていたのだと、ネロから聞きました。
心配してくださっていたのですよね?ですから、何も謝ることはありません。謝らなくて良いので────どうか、さっきの出来事は忘れてください。記憶からすべて抹消してください。露ほども残さないでください。
レド様もジグもレナスも、私の部屋には来ていない────そして、何も見ていない。────いいですね?」

 強い口調で私が言い切ると────気圧された三人が、カクカクと頷いた。

「一体、何があったんですか?」

 何も知らないアーシャが、誰にともなく訊く。

 ちなみに、アーシャはロウェルダ公爵邸から、このお邸に移っている。元々、ロウェルダ公爵邸で預かってもらうのは、厨房の件が解決するまでという話だったのだ。予定通り、こちらに移ったようだ。

 これからは、通いでカエラさんの下、修行をさせてもらうことになっている。

「ううん、何もなかったの。アーシャは何も気にすることないからね?」
「わ、わかった」

 私が笑顔で言い切ると、アーシャもカクカクと頷いた。


「さて────気を取り直して、本題に入りましょうか」

 気まずい雰囲気が漂い、誰もしゃべらないので────仕方なく、自分で切り出す。

「まずは、皆さん────ご心配をおかけして、すみませんでした。カデアとアーシャが世話をしてくれていたと聞いています。ありがとうございます、二人とも」
「いいえ────ご無事でよかったです、リゼラ様」

 カデアは、首を横に振り、そ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ