暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十四章―再生と創造―#6
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

※※※


 ルガレドたちは、その光景を────ただ、呆然と見ていた。

 リゼラの腕に留まる白い鳥は、離れていても神々しさが感じられ、その姿かたちから見ても普通の獣ではなかった。

 昏く闇に閉ざされているのは変わらなかったが、どこか禍々しかった空間が、清廉なもので満たされ────この空間の主が、あの白く荘厳な鳥であることは明らかだった。

 古の神は“禍”から解き放たれ────あの真白の鳥に生まれ変わったのだ。

 ルガレドを始めとする、この場に居合わせた者たちは────大変な瞬間に立ち会ったのだと、今更ながらに鳥肌が立った。


 リゼラの身体が崩れ落ちたのが見え、ルガレドは我に返る。

「リゼ!」

 駆け寄り、リゼラの身体を抱き起こす。
 すぐにジグとレナスも続き、ラムルとカデア、アーシャも駆けつける。
 白い鳥は地面に下り、傍でリゼラの顔を覗き込む。


───ガルファルリエムの子よ、心配はいらぬ───
───我が神子は、“神力”を使い過ぎただけだ───


「“神力”?」

 ルガレドは反射的に問い返した。


───そうか。人間は“魔力”と呼ぶのだったか…───
───とにかく、心配はいらぬ───
───現界に戻り、我が神子を休ませねば───


 “我が神子”─────その言い方が少し引っかかったが、それよりも先に、確認しておかなければならないことがある。

「貴方は、神なのか?」


───そうだ。まだ生まれたばかりだがな───
───我が神子のおかげで、こうして生まれ変わることができたのだ───


 魂魄のみだったときとは違い、その声音は嬉しそうに────楽しそうに弾んでいる。

 リゼラが無理をした理由が解った気がして、ルガレドは口元を緩める。

「神よ────貴方の名は?」


───名はまだない───
───名をつけてもらう前に、我が神子が気を失ってしまったのでな───


(…リゼにつけてもらうつもり────ということか?)

 ルガレドは、そこはかとなく嫌な予感がしたが、それよりもリゼラを休ませてやりたかった。

 リゼラを抱き上げて、立ち上がる。リゼラのその軽さに驚いて、同時に不安が湧き上がった。庇護欲が増して、もっと大事にしなければ────と改めて心に決める。

「アーシャ、リゼの剣を」
「は、はいっ!」

 リゼラの側に転がっていた【ツイノミツルギ】を、アーシャが拾うのを見届け、ルガレドは神へと向き直る。

「それでは、神よ。俺たちを元の場所へ帰してくれ」


───承知した───



※※※


「そうですか────そんなことが…」

 孤児院の院長ラド
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ