暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十四章―再生と創造―#4
[3/5]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
─厨房の向かい側に並ぶ17の部屋を整える前に、2階を確かめることにする。2階にレド様に使っていただけるような部屋があるか、先に確認しなければいけないからだ。それ次第で、1階の部屋もやりようが変わってくる。
2階に上ってみると、そこには扉が2つあるだけだった。2つの扉の位置から考えて、このフロアの2/3の広さの一部屋と1/3の広さの一部屋が並んでいるようだ。
「まずは、こちらの大き目の部屋から見てみるか」
そう言って、レド様が観音開きの重厚な扉に手をかける。
「…開かない?」
「え?───本当ですか?」
【
最適化
(
オプティマイズ
)
】したのに?
「あ、それでは、【
解析
(
アナライズ
)
】してみます。レド様、下がっていてください」
「リゼは能力を使ってばかりだろう?────ここは、俺がする」
レド様の足元に、魔術式が展開する。
「………ここは、リゼが開ける方が良さそうだ」
「私が?」
「ここは【神子の座】で───『神子ならざる者入るべからず』だそうだ」
「【神子の座】…?」
レド様が扉の前から退いたのにつられ、私は反射的に扉の前に出る。
扉の向こうからは、不思議な気配がした。何だろう────この気配。
神域とは違う────だけど、清涼な…、凛とした気配。
私は、そっと扉に掌を当ててみる。すると、ぱっと魔術式が扉に広がるように走り、光が魔術式をなぞった後、かちり、と鍵が開く音が響いた。
私が掌に力を入れると、扉はあっけなく内側に開いていく。
観音扉が大きく開かれると、部屋の全貌が露になった。扉の向かい側にあるのは────あれは、祭壇?
一段高くなっている半円形の床があり、壁にはタペストリーが掛けられている。何故、私はこれを祭壇だと思ったのか────
私は、その祭壇に誘われるように────部屋の中へと踏み込み、半円形の床に乗り上げる。
背後で、何かがぶつかるような音がして、振り返ると、レド様たちは部屋の中に入れないらしく、立ち往生しているのが見えた。
「リゼ!」
レド様が、慌てた様子で私の名を叫んでいる。不思議と私に焦りはなかった。嫌なものや悪意を感じなかったからかもしれない。
私の足元に、魔術式が半円形の床一杯に広がり、光を放つ。ゴ、ゴゴ…、と重いものがずれていくような音が辺りに響き渡り、微かな振動がする。
おそらく────塔の方で何かが動いたのだと、私は確信した。
光が収束し、魔術式が、空気に溶けるように消えていく。私は、祭壇から下りて、レド様たちが待つ扉へと駆け寄る。
「リゼ、無事か!?一体、今のは何だ────何が起こった?」
「…判りません。とにかく塔へ行ってみましょう」
私
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ