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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十四章―再生と創造―#2
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「これが…、外から見た孤児院か」

 レド様が、孤児院として使っている建物を見上げて、呟く。


 この建物は、古くは───名称も伝わっていない、古の神を祀る寺院だったようだ。

 最初に中心にある円柱型の塔が建てられ───後からその塔を囲うように、四方に長方形の棟が追加されたらしい。

 上から見下ろしたら、長さが等しい十字に見えるはずだ。

 塔だけは3階相当だが、それ以外は二階建てで───正面の門扉に向かって一つの棟が面している。

 その正面の棟───南側に面しているので、南棟と呼んでいる───と北棟は1階部分も屋内となっているけど、西棟と東棟は1階部分が柱で支えているだけの外廊のようになっている。

 かなり年季が入っていて、利用できるスペースは、二つの棟だけだ。

 利用可能な棟───南棟は1階部分に、玄関、元待合室、厨房とダイニングがあり、2階部分に院長先生が執務に使っている部屋と、子供部屋の一つがある。

 それから、もう一つの利用可能な棟───西棟はすべて子供部屋にしている。

 だけど、西棟は2階部分しか屋内でない上、すべての部屋が使えるわけではないので、一部屋に数人の子供が寝泊まりし───どの部屋もそんなに広くないので、すし詰め状態になってしまっていた。


「確かに建物自体は大きくて広そうなのに…、かなり古く────いや、朽ち果てていると言ってもいいな」
「ええ、そうなんです」

 だからこそ、何とかしたいのだ。

「とにかく、登録してしまいます。それから、中に入って作業を始めましょう。【最適化(オプティマイズ)】をする前に、子供たちの私物や変えては困るものを、一時的に“収納袋”にしまって、変えたくない箇所には【防衛(プロテクション)】をかけるつもりです。
それでは───ラムル、カデア、アーシャ、お手伝いよろしくお願いします」

「リゼ、俺も手伝う。そのつもりでついて来たんだ」

 私の言葉が終わると同時に勢い込んで言われた────レド様の申し出に、私は瞬く。

「ですが、レド様にそんなことをしていただくわけには────」
「ここは、リゼを救ってくれた────リゼの大事な場所なんだろう?それなら、俺にとっても大事な場所だ。だから、リゼ────俺にも、どうか手伝わせて欲しい」
「レド様…」

「リゼラ様、いいではありませんか。坊ちゃまは、リゼラ様が喜ぶことなら、何だってしてあげたいんですよ。どうか、させてあげてくださいな」

 カデアが弾んだ声音で、口を挟む。

「カデア、援護してくれるのはありがたいが…、坊ちゃまはやめてくれ」

 レド様の照れるその表情に───レド様のそのお気持ちに、私は笑みが零れるのを止められなかった。

「あり
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