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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十四章―再生と創造―#1
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族街を出て────商店街を歩いて…、それで────それで…、大通りから────そうだ、小道に入って────確か、そこで転んで…、立ち上がれなくて…、(うずくま)ったときだった────かと…」

 いつの間にか、レド様と私だけでなく────全員が足を止めていた。

 私たちの突然始まった問答に、アーシャが困惑気味に見ている。

「それなら、あちらの孤児院の方が圧倒的に近い。何故────こちらの孤児院だったんだ…?」

「…そちらは満員だったのでは?」

 ラムルが口を挟む。

「だが、それはこちらの孤児院でも同じだったのではないか?リゼは、だから仕方なく公爵邸へ戻っていたんだろう?」
「はい…」

「それなら───こちらの孤児院の関係者だったのでは?」

 今度はレナスが口を挟んだ。

「いいえ…、それはないと思います。院長先生も知らない人だったと言っていましたし…」

 私は首を振る。

「どんな人だったんだ?」
「男の人でした…。確か…、背が高くて────小さい私では見上げないと顔が見えなくて…、頭がぼんやりしてたから────顔立ちとか…、髪の色とか…、どんなだったか、あまり覚えていないんです…」

 そうだ────だから、後でお礼をしたいと思い立ったとき────院長先生に、私を連れて来てくれた人の人相を訊いたんだった。

 だけど、院長先生も────ぐったりしていた私に気を取られて、ちゃんと見ていなかったので、詳しい人相は覚えていないって言われたんだっけ…。

 でも────レド様の疑問は(もっと)もだ。
 どうして、考えてもみなかったんだろう────


「…悪い、リゼ。悩ませてしまって────」
「いえ、言われてみれば、確かに疑問ですから…」

「とにかく、孤児院に向かおうか」
「はい…」

 レド様の言葉で、私たちは止めていた足を、誰からともなく踏み出す。

「それにしても…、レド様は何故、貴族街に近い────その孤児院のことご存じなんですか?」
「ああ…。公務で慰問するはずだったんだ。ファルリエム辺境伯領のことがあって────取りやめになってしまったけどな…」
「…そうだったんですか」

 何だかレド様の声が寂しそうになった気がして、私は離してしまっていたレド様の手をまた握った。

 レド様はすぐに優しく力を込めて握り返してくれた─────

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