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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十三章―愚か者たちの戯言―#7
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「最高でした」

 レナスは思い出しているのか、恍惚とした表情で答える。

「残しておきたいくらいです」

 ジグも眼を閉じて、噛みしめるように言う。

 鮮やかに咲き誇る花々に囲まれて、その長い睫をそっと伏せ、見ている者の胸を締め付けさせる────愁いに陰る表情を浮かべたリゼラは、ルガレドの言う通り、この世のものとは思えない美しさだった。

「そうだろう────そうだよな。…俺は正常だよな?」
「ええ。リゼラ様はとても美しいですよ」
「冒険者たちの間では女神扱いされてます」
「…それは、本当か?」
「ええ。何でも、リゼラ様は“孤高の戦女神”と称されているようです」
「そうか…。────近づけるなよ?」
「「勿論です」」

「それにしても、ルガレド様、何でサンルームに行ったんです?」
「いや、リゼが部屋から出て行く気配がしたものだから────」
「……敏感過ぎません?」
「リゼは俺の婚約者だ。気にして当然だろう」
「当然────ですかね?」

 レナスは首を傾げる。

 まあ、でも、ルガレドはその当初の目的を忘れているようなので、レナスは安堵した。

 リゼラが眠れずにサンルームに向かった理由────おそらく、ラムルの報告したことが心因だとは思うが、それをルガレドに追及されては、リゼラは困るだろう。

「まあ、ルガレド様が色ボケしているというのは事実ですよね」
「お前たちだって、どう見ても色ボケしているぞ」
「ですが、オレたちも色ボケしているとなりますと────さっきの証明、成り立たなくなりますよ?」
「そうか────確かにそうだな…。リゼに自覚させるには、一体どうしたらいいんだ…。いや、自覚させない方がいいのか…?」

 真剣に悩み始めたルガレドに────平和な夜に、ジグとレナスは笑みを浮かべた。

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