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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十三章―愚か者たちの戯言―#5
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剣を打ち合う。それは、さながら演舞のようで、兵士たちが見惚れるのも解る気がした。
(あれが…、ルガレド皇子の婚約者─────)
ハーフアップにして後ろに流したままの───艶やかな黒髪が、動く度に宙に舞う。ビバルがこれまで目にしたことのないほどの────美しい少女だ。
凛とした表情には知性が感じられ、その嫋やかな身体が流麗に動く様は長いこと鍛練を重ねてきたのだと────武芸とは縁遠いビバルでさえ判る。
勉強も修行もしたことがない────我が儘で傲慢な公爵家の次女。
この噂が事実でないことを理解して────あの少女は、ルガレド皇子の予算を自分の恣にするために補佐官になったわけではないと判明して────ビバルは深く暗い絶望を覚えた。
あれは駄目だ────
ベイラリオ侯爵家によって腐敗する皇宮にあっても、管理課のあの管理官のように、朱に交わることなく清廉潔白な輩が一定数いるが────あの少女の醸す空気は、彼らとよく似ていた。
あの少女は、ビバルがどんなに言葉を尽くしたところで、ビバルの横領に手を貸しはしないだろう。それどころか────ビバルを罪に問おうとするに違いない。
ああ…、もう───ルガレド皇子を食い物にすることはできない───
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