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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十三章―愚か者たちの戯言―#5
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情報元は女の下級使用人だったが、情報源はその恋人である下級兵士だ。
何でも、ルガレド皇子とその婚約者は、毎朝、下級兵士用調練場で手合わせをしているらしい。
そういえば────ルガレド皇子の婚約者は武門イルノラド公爵家の出で、婚約者である前にルガレド皇子の親衛騎士だったと、ビバルは思い出した。
(我が儘で────勉強も修行もしなかったって話じゃなかったか…?)
情報の齟齬に、一瞬、違和感が走ったが────すぐに、頭の隅に追いやってしまった。
その日の夜は、ゲドが怖くて────皇城から出ず、職場で夜を明かした。
そして────翌日、ビバルが下級兵士用調練場に行ってみると、下級兵士がいるだけで、ルガレド皇子もその婚約者の姿もなかった。
下級兵士の一人を捉まえて訊くと、ルガレド皇子たちが鍛練を行うのは、兵士たちが集まる前────早朝とのことだった。
(もっと早く来なけりゃダメだったか…)
そして────さらに翌日。ビバルはまたもや職場で夜を明かし、日が昇らないうちに下級兵士用調練場に向かった。
2日連続で、職場の硬い椅子を繋げて仮眠をとっただけのビバルは、首と腰の痛みに顔を顰めた。
歩いていると、夜の闇に日の光が混じり始めて、闇が段々と薄まるようにして夜が明けていった。
調練場に辿り着くと、すでにルガレド皇子とその婚約者が手合わせを始めているようだった。
(ようやく会えたのはいいが────これから、どうするか…。どうやって、ルガレド皇子と引き離して、二人で話をするか…)
悩んでいると、調練場の片隅に下級兵士たちが集まっているのが目に入った。
(何をしているんだ?)
近寄ってみると、兵士たちは────ルガレドとその婚約者の手合わせを、熱心に見ていた。
その中に、昨日、ルガレドたちのことを訊ねた兵士を見つけ───また訊ねてみる。
「あんたら、一体、何してんだ?まだ、鍛練の時間じゃないだろ?」
「ああ、昨日の…。いえ、ルガレド殿下たちの手合わせを見ているだけです。あの二人────すごいなんてものじゃないんです」
兵士の声音は上擦っていて、まるでルガレド皇子とその婚約者に心酔しているかのようだ。
見回せば、そこにいる兵士たちすべてが、そんな感じだった。
ビバルは────視線を戻した兵士につられるようにして、ルガレド皇子とその婚約者に眼を遣り────見開いた。
ルガレド皇子が手にしているのは、両手剣だ。対するルガレド皇子の婚約者は、ショートソードを両手に1本ずつ手にしている。
その攻防は、二人とも体重がないのではないかというくらい────流れるような滑らかな動きで、事前に示し合わせているかのように
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