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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十三章―愚か者たちの戯言―#2
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女は────リゼラ様は…、単に聡明なだけではなく────縁を引き寄せるだけの強運を持ち、その縁をものにするだけの素質があり、さらにその縁を活かすことができるお方のようだ…。
リゼラ様が坊ちゃまの婚約者になったと知ったとき、あの子なら────とカデアとただ単純に喜んでいただけで、特に坊ちゃまを護ってくれる以外のことを私は期待してはいなかったんだが…、もしかしたら…、リゼラ様は、私が考えていた以上に────坊ちゃまと並び立つに相応しいお方かもしれない」
まだ、リゼラとは再会して数日だ。過去と合わせても、接した日数もそんなに多くない。
けれど、ルガレドの現状を調べてもらった際のノヴァの調査報告に併せ、レナスによって語られた────リゼラがルガレドにもたらしたことの数々。そして────先程のノヴァ自身の言動。
何より、ルガレドを支えようとするリゼラのその気概が────ラムルにそう思わせる。
「そうか…。あんたがそこまで言うのなら────そうなんだろう。まあ、でも、ルガレド様本人がリゼラ様を気に入っていると聞いている。ルガレド様のお気持ちが一番大事だからな。俺には────それだけでもリゼラ様を主と仰ぐには十分だ」
「…気に入っているなんてものじゃない、あれは。入れ込んでいると言っていい状態だ」
ルガレドのリゼラに対する態度を思い出し、ラムルはまた苦笑した。それを見たベルネオも笑いを零した。
「ルガレド様は、冒険者たちの間でも相当噂になっているようだぞ。新人が単独で魔獣討伐、魔物の集落を壊滅したってだけでもすごいのに────孤高の戦女神“双剣のリゼラ”をも落としたってな。ギルドでもリゼラ様の傍を片時も離れず、リゼラ様に男が視線をやるだけで睨みを利かせているって話だ」
「今の坊ちゃまならば…、確かにやりそうだ」
その場面が簡単に想像でき、ラムルも苦笑ではなく────微笑を浮かべた。
◇◇◇
街に面した皇城の門は、2か所ある。王侯貴族専用の門と、使用人や身分を持たない官吏────そして物資を運び入れる業者専用の門だ。
ラムルは、後者の門の前にできた列の最後尾に並んだ。
列に並んでいるのは、官吏たちが登城するにはまだ早い時分のため、葉物野菜など新鮮さが求められる食材などを持ってきた業者がほとんどだ。
ラムルが知る限りでは、皇宮と契約を結んでいる者だけでなく、邸を与えられた妃の生家から派遣された者も混じっているはずだった。
「次の者」
門番に呼ばれ、ラムルは踏み出す。
「ガビトメル商会の者です」
「…通れ」
今のラムルは───フードの付いたマントを着て麻袋を一つ担いでいる姿だったが、門番はフードをとらせることも麻袋の中身を確認することすらせず──
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