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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十三章―愚か者たちの戯言―#1
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「おはようございます、レド様」
「おはよう、リゼ」

 レド様は、いつもと変わらない声と表情で私に挨拶すると、打って変わって凍てついた表情になってジグとレナスを見下ろす。

「楽しそうだな…、ジグ、レナス」
「おはようございます、ルガレド様」
「いい朝ですね、ルガレド様」

「お前ら…、まさか────俺がいないのをいいことに、毎朝、こうやってリゼに纏わりついているんじゃないだろうな…?」
「まさか、滅相もない」
「今日は特別ですよ」
「どう特別だというんだ?」
「それは────」

 あ、これはまずい。

「レド様、ジグとレナスがこうやってここにいるのは、本当に今日だけですよ。今日は────私が給金のことで相談があったので、二人を呼んだんです。ついさっきまでラムルもここにいて、立ち会ってくれていたから、私たちだけで話していたわけでもないですし」

「給金のこと?今更、何を?」
「皇宮の使用人たちは、月に一度決められた日に給金を渡されるみたいなので、ジグとレナスもその方がいいか、いつ渡せばいいか、希望を聞いていたんです」

 うう、あまりレド様に嘘は()きたくないけど────でも、ほら、皇宮使用人の給金日について話していたのは事実だし…。だから、お願い、私の罪悪感よ────今だけでいい、ちょっと引っ込んでて…!

 レド様はしばし考え込んだ後、真面目な顔をして口を開いた。

「…別に呼ばなくても、【念話(テレパス)】で話せば良くないか?」

 レド様?何だか、本気で仰っているように聞こえるんですが…。

「つまりオレたちは、リゼラ様に会うことすら許されないと?」
「それは────横暴すぎやしませんか?」

「別に会う必要ないだろ?」

 レド様が真顔で言う。

「あるに決まっているでしょう。リゼラ様は我々の雇い主ですよ」
「そもそも護衛対象ですからね」

「いや、護衛するときも別に姿を現す必要はないだろ?大体、護衛対象には緊急時以外に姿を見せることはないと言っていなかったか?」
「それは、邸など────屋内に常時いるような場合ですよ。邸にいるときは姿を見せていないじゃないですか」

「狩りのときでも別に姿を見せる必要はないだろ?」
「いや、魔物や魔獣相手には、隠れる意味も場所もないですし」
「別に戦わないんだし、常時、【認識妨害(ジャミング)】で姿を隠して、ただ見守っているだけでいいんじゃないか?」

「…飯はどうするんです?」
「厨房のテーブルに置いておいてもらって、リゼが出て行ってから取りにくればいい」
「……ルガレド様、もしかして本気で仰ってません?」
「勿論、本気だが?」

 レド様…。

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