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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十三章―愚か者たちの戯言―#1
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まった。

 ビバルは、どうやらお邸の改装や補修を理由に、レド様の年間予算から多額のお金を引き出していたようなのだが、お邸が【最適化(オプティマイズ)】によって変貌してしまったために、その不正を証明できなくなってしまったからだ。

 まあ、証明できて訴えたところで、皇妃一派によって却下されていただろうけれど。

「それに、そろそろ皇宮使用人の給金日です。ルガレド様の名ばかり侍女だった女も、接触してこようとしてくる可能性があります」

 レド様の名ばかり侍女だった女────確か、名はダムナといったっけ。
 そちらの方は、おじ様に促されて、補佐官になって直後にすでに解雇している。

 もうこの皇宮の使用人ですらないのだが、ダムナは侍女の仕事をしないどころか給金日にしか登城していなかったらしいので、未だに解雇されたことに気づいていない可能性が高い。給金日に一悶着起こしそうだ。

 ダムナという女は、きっと自分の行いの意味など解っていない。

 それが────レド様にどう影響していたかなんて、きっと少しも考えていないに違いない。

 出逢った当初のレド様の状態を思い出すと────冷たい怒りが私の胸の内を侵食していくのを感じた。

 ビバルとダムナ…、本当に────どうしてやろうか。

「リゼラ様────その愚か者どもの対応、このラムルにお任せいただけないでしょうか?」
「ラムルに?」
「はい。そのような愚か者どもに、リゼラ様が煩わされる必要はございません。我らが旦那様にした仕打ち、このラムルが────存分に後悔させてやりましょう」

 ラムルはその細い眼を開き、慈悲など持ち合わせていないかのような凍てついた無表情で告げる。

「ラムルなら大丈夫だと思いますが────レド様の名を汚さないと約束してくれますか?」
「誓いましょう。決して、旦那様の────リゼラ様の名を汚すようなことは致しません」
「それなら────ラムル、貴方に委細すべて任せます」
「かしこまりました」

 そう応えると、ラムルは滑らかな動作で一礼した。


◇◇◇


 全員分のオムライスを作り終えアイテムボックスにしまった後、ハンバーガーも作り終えて、私は細切りにして小麦粉をまぶした大量のジャガイモをせっせと揚げていた。

 ラムルは早速行動を開始するとのことで出て行き、カデアはレド様を起こしに向かってここにはいない。

 ジグとレナスは、立ち去る機会を逸したのか、私のやることを傍で見ている。

「それにしても…、驚きました。リゼラ様でも────あのように怒りを露にすることがあるのですね」

 レナスが、意外そうに────しみじみ呟いた。

 そうか。ここに来てからこれまで、人の情けや思いやりを感じるこ
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