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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十二章―忠臣の帰還―#5
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────そんな風に思ってくれてたんだ…。
「だから、わたし…、冒険者になったの。強くなって、リゼ姉さんの仕事を手伝おうって────」
「アーシャ…」
「だから、お願い、わたしも連れていって。何でもするから…!」
どうしよう…。
アーシャの気持ちは、すごく嬉しい。
だけど、私の───レド様の立場は不安定だ。まだ12歳のこの子を巻き込むわけにはいかない。
「リゼ、連れて行ってやってもいいのではないか?」
「レド様?」
「リゼは、その子がまだ子供だから心配なのかもしれないが…、その子の決意は固いようだし、子供ながらも自分で決めた道だ。それに───断ったとしても、どうせ冒険者を続けていくのなら、危険なことには変わりがないのではないか?」
「それは────そうですが…」
レド様の言うことにも一理ある。確かに、断ってもこの先冒険者として生きていくなら…、危険なことには変わりない。
だけど…、本当に巻き込んでもいいのだろうか。
私は────私を一生懸命見上げているアーシャを見遣る。アーシャは、懇願するように────潤んだ眼で私を見ていた。
アーシャには、私が剣術を教えた。前世で修めた小太刀二刀流を元にした双剣術だ。
まだ身体が成長し切っていないので、大振りの短剣を使うようにさせている。私が見る限りでは、剣術の才能はあると思う。
すでに盗賊退治や護衛などの経験もしているから、暗殺者のような───人間相手と戦うことなっても躊躇はしないだろう。
私はアーシャを見据え、口を開いた。
「アーシャもさっき言っていた通り、私はこの国の皇子様の騎士なの。そして、その皇子様の婚約者でもある。いずれは結婚して皇子様の妃となることも決定しているの。その私を護るということは────戦うべき敵も多いし、命懸けになる。途中で辞めることも許されない。それでも────それでも、私を護りたい?」
私の言葉に、アーシャは眼を逸らすことなく────その瞳に先程よりも強い決意を湛えて、頷く。
「護りたい。わたしは────リゼ姉さんを護りたい」
アーシャの力強い応えに、私も覚悟を決める。
「解った。…アーシャ、私を護って」
「うん…!」
アーシャが満面の笑みを浮かべて、私に抱き着く。私は感謝を込めて、その小さな身体を抱き締め返した。
「レド様、」
「連れて行こうって先に言ったのは俺だからな。勿論───許可する。それと、その子は俺が雇う」
「え?でも、私の護衛ですし────」
「その子には、護衛も兼ねたリゼ専任の侍女になってもらいたい」
思ってもみなかったレド様の考えに、私は眼を瞬かせた。
レド様は片膝をついて、アーシャに視線を合わせる。
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