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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十二章―忠臣の帰還―#3
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 このお邸は古代魔術帝国のオーバーテクノロジー仕様になってしまっているため、邸内の掃除、洗濯、サンルームの植物や畑の世話はしなくてもいいので、カデアにはメイドの仕事を兼任してもらう必要はない。

「話しておかなければならないのは、これぐらいか?」
「そうですね…。ラムル、カデア、他に何か────話しておかなければならないことはありますか?」
「いえ、ございません」

 ラムルが答え、カデアも首を振る。

「ジグとレナスは?」
「「ございません」」

「そうか。それなら────せっかくだし、お茶でも飲みながら話でもするか」

 夕飯の支度を始めるには、まだ少し早過ぎる。

「いいですね。お茶、淹れ直します」
「あ、リゼラ様、私がお淹れしますよ」
「お疲れでしょうし、今日のところは私がやります。次からはお願いしますね」

 どうせ魔法でお湯を出すだけだし、そんなに手間でもない。

「それにしても────皇都に到着するのが随分早かったが…、大丈夫なのか?」

 レド様が心配そうに訊ねる。

「実は…、ジグに旦那様がようやく成人されるという知らせをもらってすぐに、営んでいた宿屋を信頼できる者に引き継ぎ、戻る準備を始めたのです」
「ジグに返信するのと同時に、向こうを発ちまして、実は2日前には到着していたのですよ。ジグかレナスが、私たちと連絡をとろうとしてくるのを待つしかなかったので、今日になってしまいましたが」
「そうだったんですか…」

 道理で早いわけだ。

「だが…、俺に呼び戻すつもりがなかったら、どうするつもりだったんだ?」
「坊ちゃまなら、必ず呼び戻してくださると信じていましたもの」
「坊ちゃまは止めてくれと言っただろう」

 目元と耳を赤くして恥ずかしがるレド様が可愛い…。でも、それを顔に出してしまうと、レド様は拗ねてしまいそうだから、私は我慢する。

「それよりも、到着してみてびっくりですよ。親衛騎士は男性と聞いていたのに、女性に変わっていて、しかも婚約までされているんですもの。うふふ、成人というだけでおめでたいのに、お嫁さんまでお決まりになって────カデアは嬉しい限りですよ」
「カデア…」

 我が事のように喜ぶカデアに、レド様は言葉に詰まる。

「カデアの言う通りです。本当におめでとうございます、旦那様」
「…ありがとう、ラムル」

 祝ってくれる二人の想いを噛みしめるように、レド様は微笑んだ。


◇◇◇


「「「……………」」」

 和やかだった歓談から────約2時間後。厨房は悲嘆に暮れていた…。

 立ち尽くす、カデア、ラムル、そして────私。
 目の前には、黒焦げのミートパイ。

 これは、カデアの得意料理で────
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