暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十二章―忠臣の帰還―#2
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
は、レド様。お茶を淹れますから、厨房で二人を待ちましょう」
「そうだな」

 いつの間にか【認識妨害(ジャミング)】を解いて傍に立っていた、ジグとレナスにも訊く。

「ジグとレナスも立ち会いますよね?」
「はい」
「勿論です」

 頷く二人を見て、レド様が何だか苦虫を噛んだみたいな表情で呟いた。

「…お前たちも来るのか」
「酷いですね、ルガレド様」
「オレたちが行くと何か不都合でも?」
「リゼと二人でいる時間が減る」
「…心が狭いですよね、ルガレド様は」
「少しくらいいいでしょう。どうせ、夕飯の後、二人で過ごすんですから」
「それとこれとは別だ。そうでなくとも、最近二人でいられる時間が減っているのに…」

 レド様が憮然と言う。

 確かに────出会って最初の頃に比べたら、一緒にいられる時間は格段に減っちゃったな…。

「とにかく、厨房へ行きましょうか。お茶を淹れて───【異次元収納庫】に入れてある作り置きのお菓子を出して、皆でお茶にしましょう?」
「そうだな」

 厨房に向かって、4人で歩き出す。

 私は、そっと────隣を歩くレド様の大きな手を握る。

「!」

 レド様は一瞬驚いたような表情をした後、すぐに嬉しそうに微笑み、私の手を優しく握り返してくれた。 
 
 そうして────厨房までの短い距離だったが、私はレド様と手を繋いで寄り添っていた。


◇◇◇


「本当に────よく戻って来てくれた、ラムル、カデア」

 旅装を解いたラムルとカデアが、簡素な普段着で厨房に現れたときには、レド様は落ち着きを取り戻していた。

 立ち上がり、厨房に入って来た二人を出迎える。

 ラムルとカデアは、レド様に再会した直後の興奮状態は収まっていたようだったが、レド様の言葉に再び涙ぐんだ。

「坊ちゃま…」
「待て────その『坊ちゃま』というのは止してくれ」

 カデアの呟きに、レド様がすぐさま口を挟む。レド様は決まり悪そうに、ちらりと私を見遣った。

「おやまあ、そうですわね。うふふ、ご婚約者様の手前、そんな風に呼ばれたくはありませんよね。私ったら、気が利かない」

 レド様の様子に、涙は引っ込んでしまったらしいカデアが楽しそうに笑う。

「それでは───これからは、旦那様とお呼び致します」

 カデアに代わって、ラムルが応え────レド様は頷いた。

「それと、もう自己紹介は済んでいるみたいだが───改めて、紹介しておく。俺の親衛騎士で───いずれ俺の妻となる…、リゼラ=アン・ファルリエムだ。俺と同様に仕えて欲しい」

 レド様が隣に立つ私の肩を抱き、ラムルとカデアに向かって告げる。

「心得ております。女主人として仰ぎ─
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ