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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十一章―ルガレドの実力―#4
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ないから、霊剣だと見破られてしまうことはないはずだ。

「いい得物だ。これなら────あの切り口も納得がいく」

 バドさんは感心したように一息吐くと、小太刀を鞘に納め、返してくれた。

「弓を使ったのは、リゼか?」
「あ、はい」
「そうか。それなら────査定結果は、リゼがオーガ31頭。アレドはオーガ20頭とオーガロードだな。こっちとこの2頭分がリゼの分。あっちがアレドの分だ」

 倉庫を二分するように置かれた素材の山を、バドさんがそれぞれ指さす。

「…すごいな。そこまで判るのか」

 事も無げに告げるバドさんに、レド様は驚嘆の声を上げた。
 そうですよね、すごいですよね。これは経験の成せる業ですよ。

「あんたの得物は幅広の両手剣だろ。リゼの細剣とは切り口が違うからな」
「そういうものか…」

「で、買取はどうする?」

 ガレスさんがそこで口を挟み、私とレド様に訊く。

「そうですね…。私は、鞣革と肉───それから、魔石を持ち帰ります。それ以外の部位は買取でお願いします」
「解った。アレド、お前さんは?」
「では…、俺も───鞣革と肉、魔石を持ち帰る。それ以外は買取で頼む」

「…鞣革と魔石はともかく、二人とも肉、そんなに持ち帰ってどうするんだ?」

 ガレスさんに訝し気に訊かれる。

 オーガはその身体のうち3〜4割が、食肉として取れる。それが、二人合わせて51頭分にプラスしてオーガロード1頭分。

 まあ、普通に考えたら、多すぎるよね…。

 だけど、貴重な牛肉だ。コカトリスやオークの肉は結構安く出回っているけど、オーガの肉は討伐が難しくなる分、高価になる。逃がす手はない。

「勿論、普通に私たちが食べる分と、それから孤児院への差し入れ───それと、レド様に干し肉の作り方を覚えていただこうと思いまして」
「ふうん?」
「…ガレス、詮索するものじゃない。買取も持ち帰りも二人の自由なはずだ」

 バドさんが、ガレスさんを嗜める。

 バドさんの解体師歴は長く、ガレスさんがひよっこの時分からお世話になっていたようで、ガレスさんの方が上司とはいえ、ガレスさんはまだまだバドさんには頭が上がらない。

「そうだな。…悪い、リゼ、アレド」
「いえ」



「それじゃ、今回の査定分の評価を書き込んでくる」

 私とレド様がそれぞれのライセンスを預けると、ガレスさんはそう言って倉庫を出て行った。

「オレも戻って、買取分のお金を用意してくる。持ち帰り分を詰め込んでおいてくれ」
「解りました」

 ガレスさんに続いて、バドさんも出て行ってしまうと────レド様と二人、溜息を吐いた。

「ちょっと冷や冷やしましたね。でも、オーガの肉は必要ですし…」

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