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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十一章―ルガレドの実力―#3
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ないのだ。

 お金がないわけではないが、いざというときのためにも贅沢はなるべく控えたい。断ろうとする私を制して、ラナ姉さんがにやりと笑って告げる。

「これは、殿下と過ごすときに着る用よ。殿下からのご注文だからね。リゼは断れないわよ」
「え?」
「リゼの服は、殿下がすべて費用を持ってくださることになっているの。わたしが思うように作ってよいとの仰せよ。うふふ、腕が鳴るわ」
「ちょっ───いつの間に…!?」

 いつかの悪い予感が当たってしまった…!

「あら、どこへ行くの、リゼ」
「レド様のところに」
「もしかして、抗議でもするつもり?」
「駄目よ、リゼ。婚約者にドレスやワンピース、装身具を贈るのは、男の甲斐性よ。殿下の面目を潰すことになるわ。黙って受け取りなさい」

 シェリアにそう言われ────私はがっくりと項垂(うなだ)れた。


※※※


「そうか…。やはり────リゼは気にしていたか…」

 夕食を終え、サンルームでリゼとしばし過ごし、自室に引き揚げたルガレドは、レナスから報告を受けていた。

 今日はジグがルガレドに付き、レナスがリゼラを護衛していた。

 レナスはリゼラに悪いと思いつつも────リゼラがシェリアに語った不安を、主であるルガレドに報告した。

「…シェリア嬢には感謝だな」
「それでは、ロウェルダ公爵公女の見解通りで?」
「ああ。シェリア嬢の言う通り、俺はリゼ以外の妻はいらない。当然───皇王などなるつもりはない」

 ルガレドは、迷うことなく答える。

「まあ、そうでしょうね」

 ジグが返し、レナスも頷く。

「幸い、ゼアルムがいるしな。必ずしも、俺が皇王にならなければならないわけではない」
「ゼアルム殿下は、皇妃に目を付けられないよう、うまく立ち回っているみたいですね」
「公務もそつなく熟しているようです」

 皇妃の手前、まともに接することができないだけで、ジェスレムとは違い、ルガレドとゼアルムの仲は悪いわけではない。

「まあ、あいつなら、いい皇王になるだろう。リゼの言う通り───あいつは、ただ柔和なだけではないからな」
「そういえば、リゼラ様はそう仰っていましたね。確かに、ゼアルム殿下は、ラメルク殿に似ている気がします」
「リゼラ様はすごいですね。夜会のとき控室でゼアルム殿下を一目見かけただけで、見抜くなんて」

「そうなんだよな。リゼは洞察力は優れているんだ。なのに、何故───自分のことには、あんなに無自覚なんだ?」

 ルガレドは首を傾げる。

「ここ数日、一緒に行動してみて────解ったような気がします」

 そう言ったのは、レナスだ。

「リゼラ様は、荒くれ者ばかりの冒険者の中にあって、浮いてい
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