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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十一章―ルガレドの実力―#1
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暮らせる。そう考えると、このコインはかなり高価だ。

 実は、レド様に宛がわれたコインは、見た目は普通のライセンスと変わらないが、特殊な立場にある人物専用のものなのだ。

 冒険者には、犯罪者以外は、身分を問わず誰であろうとなることは出来る。身分を伏せるために通称で通すことは可能だが、登録時に名前や年齢を偽ることだけは許されない。

 では、どうやって偽証を防ぐのかというと、レド様や私のような訳あり人物には、予めレド様に渡されたのと同じ特殊なコインを用いて登録する。

 何でも、ライセンスであるコインに書き込まれた情報と、コインに魔力を流して起動させた人物に齟齬(そご)があると、エラーが出て作動しないのだそうだ。

 この特殊コインは、大きな権力を持つことになるAランカーとSランカーには、漏れなく適用される。

 冒険者登録したときは、『さすが異世界』とか『魔道具ってすごい』とか感じただけだったが───よくよく考えてみれば、これはすごいことな気がする。このコインが、起動させた人物の情報を読み取るということなのだから。

 もしかして、記憶を読み取っているのだろうか───特殊能力【抽出(ピックアップ)】みたいに。

 コインの製造方法については秘匿されているのだけど────まさか、古代魔術帝国の技術だったりしないよね?

 ちなみに、害のない一般人と判断された冒険者に渡されるものは、登録された魔力に反応するだけの簡素な魔術陣を施された小さな魔石が仕込まれたコインらしい。


「解った。失くさないようにする」

 レド様が、コインをコートの内ポケットに剥き出しのまましまおうとしたのを、私は止めた。

「お待ちください、レド様。────よかったら…、その、これをお使いください」

 私は、自分の内ポケットから、掌サイズの長方形の木箱を取り出して、レド様に渡した。

 レド様は反射的に受け取り、すぐに木箱を開ける。

「これは────懐中時計?」

「レド様は、懐中時計はお持ちではないようでしたので…」
「リゼからの贈り物ということか…?」
「はい…」

 この懐中時計は───シェリアたちが私のために造ってくれた懐中時計をモデルにして、狩りで手に入れた魔石を材料に、私が魔力で創り上げたものだ。

 本当は───職人さんに特注して、ちゃんとしたものを贈りたかったけれど、時間がなくて────かといって、その辺の安物では私の気持ち的に嫌だったので、自分で創り上げることにしたのだ。

「これは────“月銀(マーニ・シルバー)”か?」
「はい」

 “月銀(マーニ・シルバー)”は、星銀(ステラ・シルバー)よりも含まれる魔力量が多く、その分だけ希少価値も高い。

「それに、こ
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