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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十章―忠誠―#4
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れているというのに───時々、無性にリゼを独占できないことに苛立ってしまう…。
ジグとレナスが────8年もの間押し込められた生活を送りながらも、俺を陰から護ってくれて────俺に仕えたいと言ってくれた大事な護衛ということも解っているのに────それでも…、どうしても────リゼがあの二人を気にかけて…、気を許していることに苛立ってしまうんだ……」
そう話すレド様の声音が苦し気に聞こえて、私は焦燥に駆られた。
私はもがいて、レド様の胸から顔を離し、両手を抜き出した。そして、レド様の頬を両手で包み、レド様の顔を覗き込む。
陰りを帯びたレド様の表情に、胸を締め付けられる思いがして────私は口を開く。
「レド様の言う通り────確かに、私には大事な人がたくさんいます。私を迎え入れてくれた孤児院のラドア院長先生や…、ぼろぼろだった私を面倒見てくれたラナ姉さん、会いに行くと喜んでくれる孤児院の子供たち────それに、初めてすべてを話すことが出来た親友のシェリア、親身になってくれるおじ様やおば様、懐いてくれる弟のようなシルム────そして、レド様を一緒に護ってくれるジグとレナス。皆───私にとって本当に大事で、私は気にかけずにはいられない。
だけど────私が一番大事なのは、レド様です。私が一番大事なのは貴方なんです、レド様。私は、貴方が望んでくれる限り、ずっと貴方の傍にいます。私は…、他の誰でもなく───貴方と生涯を共にしたいんです、レド様。私に大事な人がどんなにいようと、それは変わらない」
「リゼ…」
「だから────だから、不安になる必要などないんです、レド様」
私はそう告げて、レド様の唇にそっと口づける。
レド様は、私を抱いていた両腕を放して、頬に当てたままの私の両手を掴むと、くしゃりと顔を歪めた。
「どうして…、そうやって────いつだって俺が求めているものをくれるんだ…、お前は────」
「ふふ、そんなの決まっています。レド様が────好きだからです」
笑って欲しくて、私は、軽く───明るく、でも自分の想いを込めて返す。
レド様は、右眼の目元と耳を赤くして、何だか拗ねたような───そんな表情を浮かべた。笑ってはくれなかったけど、さっきの表情よりずっといい。
レド様の顔が近づいてきたので、私は反射的に瞼を閉じる。すぐに、温かく柔らかいものが、唇に優しく押し当てられた。
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