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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十章―忠誠―#4
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った。

「すまない…。昨日、あんなことがあった場所に────俺と行くのは嫌だよな」

 レド様の表情が陰って────レド様にそんな表情をさせてしまったことに、私は焦る。

「…っ、違います───違うんです…!」
「いや、無理しなくていい。あんなことして────怖がらせたよな…」

 自嘲気味に言葉を続けるレド様に、私は縋りつく。

「本当に───本当に、違うんです。私は───確かに、昨日のレド様は怖かったけど────だって、あれは…、その、私を好きだからこそ怒っていたのでしょう…?
それに────行くのが嫌なわけではなくて…、あの場所に行けば昨日のことを思い出して───は、恥ずかしくなるというか────きっと醜態を晒してしまうから……」

 レド様の眼が見開かれる。

 今までになく火照っている顔を見られたくなくて、私はレド様の両腕を掴んでいた両手を放して、自分の顔を覆う。

「その…、いつもの───優しく笑ってくれるレド様も、楽しそうなレド様も好きですけど────昨日の、怒っているレド様も…、何て言うか…、すごく凛々しくて───素敵というか────ごめんなさい、不快ですよね…。レド様は、あのとき嫌な思いをしていたのに、こんな風に思うなんて…、私───色ボケし過ぎですよね…」

 そう、結局のところ、惚れた欲目か────ああいうレド様さえ、私には魅力的に映るのだ。

 レド様は何も言わない。呆れられてしまったかな、と思って、恐る恐る顔を上げたそのとき────私はレド様に抱き込まれた。

「だから…、あまり煽らないでくれと言っただろう…。そういう────そういう可愛い顔をして可愛いことを言わないでくれ…。本当に我慢できなくなる……」

 絞り出すように言われたその言葉に驚いて、レド様の方へ視線をやると、私の肩に顔を押し付けているレド様の耳が、真っ赤に染まっている。

「色ボケしているというなら────それは俺の方だ。リゼと出会ってから、ずっと色ボケしっ放しだ…。俺は、リゼが────愛しくて仕方がない。俺のために一生懸命なところも、少し抜けているところも、楽しそうにはしゃぐ姿も、嬉しそうに笑う顔も…、本当に可愛くて────だけど、それだけじゃなくて…、剣を振るう姿も、何かを一心に考える顔も────見惚れるくらい綺麗で……」

 レド様の私を抱く腕に力が入り、もっと深く抱き込まれ、私はレド様の胸に(うず)まる。

「あんなことをして────もう嫌われてしまったかと思った…」
「レド様…」

「本当に色ボケしているのは俺の方だ。リゼには俺以外にも大事にしている者がたくさんいて───リゼを大事にしている者もたくさんいて……、リゼが他人を大事に出来るところは好ましいと思うし、今の俺はそれに助けら
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