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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第十章―忠誠―#1
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ータス》】を開くと、【所持品】の項目にパントリーも入っているので、そちらから手動で移すことも可能なはずだ。
「それから────これは、前から考えていたことなのですが…、退路の確保をしておきたいのです」
「退路の確保?」
「はい。もし、何かあって逃げ出さなければならない場合、【
移動門
(
ゲート
)
】がロウェルダ公爵邸だけにしかないのは不安です。
今のところ、【
転移
(
テレポーテーション
)
】を使えるのは私しかいません。【
転移
(
テレポーテーション
)
】が何らかの理由で使えなかったり、別行動を余儀なくされた場合、ロウェルダ公爵邸からでは、逃げ出すのが難しくなります。
もし孤児院に【
移動門
(
ゲート
)
】が設置出来たら────孤児院は皇都の外れにありますから、ロウェルダ公爵邸からよりは無事に脱出できる確率が高くなります」
そう、【
転移
(
テレポーテーション
)
】は何故か私しか使えない。レド様でも出来ないのだ。原因を検証はしているけれど、まだ解明出来ていない。
「…確かにいい考えかもしれない。それに───皇城を抜け出すのに、毎回ロウェルダ公爵家に頼ってばかりはいられないしな」
私の提案に、レド様は口に手を当てて考え込む。
「ただ────これは危険な賭けでもあります。孤児院には、まだ年端もいかない幼い子供たちもたくさんいますし、ある程度育った子供たちは街に出入りして色々な人と関わっています。本人たちに悪気はなくとも、情報を漏らしてしまうことになるかもしれません……」
これについては、レド様にきちんと示しておかないと。良い面ばかり言って、許可をもらうわけにはいかない。
レド様が立ち上がってこちらに回り込み、私の前に跪いて私の両手をその大きな両手で包んだ。
「リゼは、それでも子供たちを護りたいんだろう?」
「はい…。ですが、私が一番大事なのは────レド様です。レド様に迷惑をかけるくらいなら────」
「リゼ」
レド様は両手を私の手から放し、私の頬に添わせる。
「俺も…、一番大事なのは、リゼ────お前だ。お前の望みは何でも叶えてやりたい。リゼが孤児院を護りたいと言うのなら、俺はそれを叶えるだけだ」
「レド様…」
レド様のその言葉と真摯な眼差しに、胸の奥をぎゅうっと強く掴まれたような感覚に陥る。
「そもそも皇妃のことは、俺が原因なんだ。迷惑をかけているのは俺の方だ。協力するのは当然だ。それに、俺はこの国の皇子だ。国民を護る義務もある────皇子としての責務より、リゼを優先している時点で、皇子としては失格かもしれないが」
レド様はそう締めくくって、少し自嘲気味に笑った。
確かに、この国の皇子としては一番目の理由に、皇子の責務を挙げるべきだったかもしれない。
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