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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第九章―才能と価値―#5
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な」
「いえ、これは…、前世の世界で使われていたもので、私はそれを真似ただけなんです」
そんなに感心されると罪悪感で胸が痛い…。
「だが、その知識を活用できるのも才能だろう?」
「レド様、私に対する贔屓目が日に日に酷さを増していませんか…?」
駄目だ。これ以上レド様と話していると、罪悪感といたたまれなさで大ダメージを負ってしまう…。
「ええっと…、サヴァルさん。私の取り分は───いつものように孤児院の方へ直接届けてくださるよう、お願いします」
「承知致しました」
毎回、孤児院に直接届けてもらうようにしておけば、私に何かあってしばらく戻れなくても、孤児院が困窮することはないから安心だ。
「それから───お忙しいところ恐縮なのですが、“
魔玄
(
まげん
)
”の作製をお願い出来ないでしょうか?しばらく作製出来ないとリゼラ様にはお伺いしてはおりますが、どうしても“魔玄”を欲しいと仰っている方がおりまして…」
私が出来ないと伝えておいたにも関わらず、サヴァルさんがそうまで言うということは、断れない相手なのだろう。
サヴァルさんには、いつも世話になっている。ちょうど素材も手元にあるし、引き受けても大丈夫かな。
私が頷こうとしたとき────
「“魔玄”の作製?…リゼが?」
レド様が、またもや驚きの声を上げる。
あれ?───私、“魔玄”のこともレド様に話していなかったんだっけ?
“魔玄”とは、生地や鞣革を魔物の血で染めたものの名称だ。
魔物の血で生地や鞣革を満遍なく染め上げるのは、実は難しく、その技法はガドマ共和国の一部族に伝わる秘技らしい。
しかも生産数の限りが狭いため、ガドマの一部地域にしかほとんど出回らず、幻の逸品として、この国では囁かれるのみである。
前述した通り、魔物や魔獣の血で染めたものは、丈夫で柔らかく、そして伸びやすくなる。
魔玄の存在を耳にした私は、自分の装備の強化に利用できないかと試してみたのだ。
試行錯誤の結果───魔法を使えば、魔物の血を満遍なく、生地や鞣革に上手く染み込ませられることを発見した。
しかも───魔玄の場合は魔獣の血は無理らしいが、私の技法だと、魔獣の血でも染めることが出来る。
まあ、『技法』といっても、血抜きの場合と一緒で、魔物あるいは魔獣の血を魔力で操作して、抜くのではなく生地や鞣革に
閉
(
・
)
じ
(
・
)
込
(
・
)
め
(
・
)
る
(
・
)
だけなのだけれど。
私としてはそんなに難しいことではないのだが、誰に教えようとしても、一人も出来るようになった人はいなくて、今のところ、私しかこれを出来る者がいないのだ。
そのため、希少価値がついてしまっているようで、私の造る魔玄擬
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