暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第九章―才能と価値―#4
[1/3]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
【
認識妨害
(
ジャミング
)
】で姿をくらませた後、【
転移
(
テレポーテーション
)
】で孤児院へと向かう。
転移した先に誰もいないことを確認して、【
認識妨害
(
ジャミング
)
】を解いた。レナスは【
認識妨害
(
ジャミング
)
】で姿をくらませたまま、私の後をついてくる。
私が幼い頃助けられたその孤児院は、皇都の中でも外れにあった。
この孤児院の前身は、現在大陸に広がっている教会とは系統が違う───名前も伝わっていない古の神を祀る寺院だったらしく、建物は大きく部屋数も多いが、年数が経ち過ぎているため、半ば廃屋のようになってしまっている。
「あ、リゼ姉ちゃんだ!」
「ホントだっ、リゼ姉ちゃんっ!」
孤児院の中に入ると、ちびっ子たちが早速、私に飛びついてきた。
「しごと、終わったの?今日は泊まる?」
「リゼお姉ちゃん、今日はわたしと一緒に寝よう!」
私の腰にしがみついて、そんな可愛いことを言ってくるちびっ子たちに、笑みが零れる。
だけど、その可愛いお願いには応えられないので、私は眉を下げた。
「ごめんね。しばらくここには泊まれないんだ」
「ええっ!」
「なんでぇっ!?」
「今日はお肉と果物を届けに来たの。ほら、いっぱい持ってきたから、ね。機嫌直して?」
「お肉と果物はうれしいけど…」
「リゼ姉ちゃん、最近、ぜんぜん来てくれないんだもん…」
「ごめんね」
皆、不満そうに口を尖らせながらも、私の腰から離れない。
懐いてくれるのは嬉しいけど、その分、寂しい思いをさせてしまうことに罪悪感が湧く。
「こらこら、リゼを困らせてはいけませんよ」
「いんちょーせんせー…」
「皆、今日のお勉強は終わったの?」
「まだでーす」
「おわってない…」
「それなら、早く終わらせてしまいなさい」
「「「「「はーい…」」」」」
子供たちは、私の腰からしぶしぶ離れて、元いた場所へと戻っていった。
「お帰りなさい、リゼ。元気そうで何よりだわ」
「ありがとうございます、院長先生」
この孤児院の院長であるラドア先生は、もう今年で70代半ばになるらしい。元貴族のご令嬢との噂で───それに納得してしまうほど、厳しいけれど品のいいご婦人だ。
「今日は、魔物の肉と果物が手に入ったので、届けに来たんです」
「いつも、ありがとう。────厨房でお茶でも飲みながら話しましょう」
院長先生の後について、厨房に行く。
厨房はダイニングルームと一緒になっていて、レド様のお邸のエントランスホールと同じくらいの広さだ。
上級貴族家のダイニングテーブルほどもあるテーブルが2つ、空間目一杯に配置され、イスはすべてスツールなのだが、これがまたテーブルの端から端ま
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ