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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第九章―才能と価値―#4
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でぎっしりと置かれている。
「今、お茶を淹れるわね」
「あ、院長先生、私が淹れます」
「いいのよ、リゼは狩りの後でお疲れでしょう?」
正直、そんなに疲れてはいない。でも、院長先生に押し切られて、結局淹れてもらってしまった。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます。いただきます」
安い茶葉で、あまり品物は良くないはずなのに、院長先生が淹れてくれるお茶は何故か美味しくて、私は久しぶりの味に、思わず息を吐いた。
「お仕事の方はどう?」
「主は本当に良い方で────護衛を全うしたいと思っています」
院長先生には、私が第二皇子の親衛騎士となることを話してあった。
「そう、良かったわ。────その耳飾りは、その主の方からいただいたもの?」
そういえば、婚約したことは報告していなかった。
「はい、そうです…。その───求婚していただいて…、お受けしました」
言いながら、毎度のごとく頬が熱くなってくる。
「まあ、そうなの。おめでとう、リゼ。うふふ、皆このことを知ったら、残念がるでしょうね」
残念がる?────喜んでくれるのではなく?
「もう一つ、報告があるんです。主から爵位をいただきまして、ファルリエム子爵となりました。
もし…、この孤児院を私が所有していることを公表して大丈夫なら、国に助成金を申請したいと考えているのですが…」
そう────私はAランカーになった時点で、この孤児院を買い取っていた。今、この孤児院の経営者は私で、私が資金を出し、院長先生が実際の経営をしている状態だ。
前の経営者は貴族で───ただ国の助成金欲しさにこの孤児院を所有していただけで、経営者とは名ばかりでろくに資金も回してくれず、本当に困窮していた。それを見かねて、お金を貯めて私が買い取ったのだ。
「まあ、それは助かるわ」
「ただ…、皇妃と確執があるので、私の所有だと公表することで、もしかしたら迫害されるようなことがあるかもしれません」
「それは、今更じゃないかしら?すでに、ここはSランカー冒険者である“双剣のリゼラ”の所有だと周囲は知っているのだもの」
院長先生の言葉はもっともだけど…。
あの皇妃なら、『ここはファルリエム子爵の所有です』とはっきりと公表していなければ、私とここを結び付けられない気がする。
それなら、公表しない方が無難だ。
でも、レド様からダブグレル伯爵にターゲットが移った今なら大丈夫かもしれないとも思う。
私は、レド様の親衛騎士を全うすると決めている。そうすると、あまり冒険者としては活動できない。
この孤児院に回す資金は確保してあるが、それだけでは心もとない。助成金がもらえるなら、その方がいい。
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