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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第九章―才能と価値―#3
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 私は、一番近いオークの解体済みの死体に近寄る。

 本当に、綺麗に解体されてる。というか───皮の鞣し処理まで終わってるんだけど…。

「あれ?───何だろう、これ」

 鞣革、肉塊、魔石、その他の素材に混じって、赤黒い色の10cm角のキューブが目についた。

 【解析(アナライズ)】にかけてみると、何と───それは、血を凝縮させたものだった。

 瓶がいらないのは助かるけど、ちゃんと染料として使えるのかな、これ…。

 そんなことを考えつつ、【遠隔(リモート・)管理(コントロール)】で全部回収し、他の二足歩行の魔物や盗賊に利用されないよう、レナスに手伝ってもらってオークの家を壊して回る。

 すべて木製なので、これも回収しておく。後で魔法で乾燥させて、孤児院の薪にでもしよう。


 魔獣の血も欲しいので、周囲を探ってみることにする。

 私は跪いて、地面に右手を突く。地中から、植物の魔素、地を這う魔物や魔獣の魔力を、いつものように探る。

 あれ?いつもは魔素や魔力の塊がぼんやりと感じられる程度なのに、今日は、何か────すごく鮮明に魔力や魔素が()()()。森の様子だけでなく、薬草や樹木、魔物や魔獣の姿形すら思い描けるほどに。

 あ────ミグレ茸だ。マーデュの実もある。

 そう考えた瞬間、さっきと同じように、足元に魔術式が展開した。

 魔術式が光を発した直後、私の目の前にミグレ茸とマーデュの実が現れた。咄嗟に両手を差し出し、それを受け取る。

「「……………」」

 腕一杯にミグレ茸とマーデュの実を抱え、思わず無言になった。

「リゼラ様…、それは?」
「……………【採取】をしてしまったのではないかと思います、多分…」

 確認と検証は後ですることにして、とりあえずミグレ茸とマーデュの実をアイテムボックスにしまい、気を取り直して、さっき感知した魔獣の許へ向かう。



「あれですね」

 向かった先には、鹿のような魔獣がいた。

 魔獣は魔物が大量の魔素に侵され凶暴化したものだが、形態は、そのままの姿形のものもあれば、巨大化したり、変貌したりと、個体によって様々だ。

 今回の魔獣は、森の中でも一番高い樹木に並ぶくらいに巨大化している上、木の枝のように広がる2本の角には異様な魔力を帯びている。魔法を使う可能性が高い。

 私とレナスは、魔獣に気づかれないように、少し離れた所で立ち止まる。

 【(アストラル)(・ヴィジョン)】で調べてみると、魔獣はかなり魔力を内包しているようで、魔力による肉体の強化が半端ない。

 これは、生半可な魔法や魔術は利かないだろう。物理攻撃でいくしかないかな。

「では、
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