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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第九章―才能と価値―#2
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いインクには、果汁を混ぜ込んでいるみたいだ。魔物の血で出来たインクは、早く乾いて滲まない上、今のところ経年劣化もないようだ」
「ペンも硝子ペンではありませんね?硝子ペンだと、ここまで細い線で書くことは無理でしょうから」
「ああ。鳥系の魔物の羽根を削ってペンにしているようだ。魔物の羽根は、小さい文字を書けるだけでなく、魔物の血で出来たインクをよく吸い込むらしく、硝子ペンで書くよりもインクを付ける回数が少なくて済むそうだ」
「あの方は…、本当に────」
ロルスはそう呟いて、呆れともとれる溜息を
吐
(
つ
)
いた後、ルガレドに強い視線を向けた。
「殿下、リゼラ様を決して手放しなさいますな。あの方を他国へやってしまったら────この国にとって大きな損失となるでしょう」
ルガレドは、すっと表情を落とした。
この男は────ルガレドを、リゼラの価値も判らない愚かな人間だと考えているのだろうか。
ルガレドがリゼラを手放すなど────絶対にありえるはずがないのに。
「言われるまでもない。リゼは唯一無二の俺の宝だ。何処にも───他の誰にもくれてやるつもりなど、毛頭ない」
「…これは、失礼をいたしました」
ロルスは、ルガレドの怒りを察したのだろう。だが、さして動揺している様子もなく、静かに頭を下げる。
そして────再び頭を上げたときには、好々爺とした笑顔を浮かべていた。そのにこやかな笑顔のまま、口を開く。
「それでは、授業を始めるとしましょう」
※※※
午後、昼食を終えた後、私はラナ姉さんがリフォームしてくれた服を試着していた。
私のロイドによる授業は午前中のみという、取り決めになった。レド様は、午後も引き続きロルスに教授を受けている。
「結局、黒く染めるのね……」
シェリアが残念そうな口調で呟く。
今試着しているのは、皇子の親衛騎士───あるいは補佐官に見えるようにあつらえてもらったジャケットとベストだ。
古着に手を加えたもので、レース生地でパイピングしてある部分が縁取りされている。
「二人の気持ちは嬉しいけど、【
最適化
(
オプティマイズ
)
】したとしても、やっぱり魔獣の血で染めたものの方が、その分だけ丈夫になるし、動きやすいから」
綺麗な深緑色のジャケットだけど、染めた方が性能が良くなるのだから仕方がない。
「残念だわ……」
シェリアは諦めきれないようで、溜息を
吐
(
つ
)
いている。
「動きづらいとか、気になるところはない?」
「大丈夫。ベストもジャケットも着心地いいよ」
ラナ姉さんはもう何度も私の服を作ってくれているので、測るまでもなく私の体形が解っている。
「これを染める魔獣の血を
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