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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第九章―才能と価値―#2
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げられた地図を見て、ロルスはそう呟いた後、言葉が続かないようで絶句した。
それは────昨日見せてもらったリゼラが作製した地図の複製だった。
ルガレドが大陸の情勢を学び直すのに役立つだろうからと、あれも魔術なのだろうか───リゼラが、ルガレドのために自分の地図とそっくり同じものを創り出してくれたのだ。
「これは…、何て素晴らしい────これを、リゼラ様が…?」
「ああ。リゼが、長年かけて、集めた情報を少しずつ書き込んだものだそうだ。何か───間違って認識しているものや欠けている情報があったら、ぜひ教えて欲しいとのことだ」
「…いえ、ざっとではありますが、見る限り、間違っていそうな情報はございません。それどころか―――私でさえ知らない情報がある…。
これは────これは本当にすごい…。さすがは────リゼラ嬢だ……」
ロルスは話しながらも、地図から目を離せないようで、まるで目に焼き付けるかのように、地図を凝視している。
「たとえば、こちらの───ガルトバランという街。この書き込みの通り、ここは小麦の生産で成り立っておりますが、時折、小麦が強い魔素に侵されて黒い炭のようになってしまう“黒炭病”というものが発生します。その原因は判明してはおりませんでしたが───ほら、ここをご覧になってください。この近くを流れる大きな川の上流にあるこの森────」
「この森の向こうにあるのは────“デファルの森”か?まさか、繋がっているのか…?────川がこの森の側を流れている距離は短いが…、ここで────この森から流れ出る小川が合流している…?」
“デファルの森”は、魔獣が多く存在する危険な森だ。
森の奥に魔素を排出する何かが存在していると
実
(
まこと
)
しやかに囁かれているが、魔獣の数が多いことに加え、奥に行けば奥に行くほど魔獣が強大になるため、それを確かめられた者はいない。
「この情報が確かなら────確証はございませんが、これが────この小川の水が黒炭病の原因である可能性は高いでしょう。
『討伐した魔獣』────なるほど、リゼラ様はその小川には依頼で訪れたのですね。しかも複数回に渡って────魔物の魔獣化もこの小川が原因である可能性が高いですね」
「小川の水を飲んで魔獣化している可能性はリゼも気づいているようだな」
三度目の討伐の記録箇所に、小さく『小川が原因?デファルの森に源泉?───ギルドに報告済み』と赤いインクで書かれている。
「それから────この紙…、魔獣の鞣革であることは間違いなさそうですが、こんな薄くて平らなものは見たことがない」
「リゼが自分で造ったものだそうだ」
「この色がついたインクもですか?」
「そうらしい。魔物の血を使用していると言っていた。赤いインクと青
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