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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第九章―才能と価値―#1
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 大きい方の元になった小さい地図には、主だった街道や枝道、小道でも必要と思うもの、それから野営が可能な場所、注意すべき魔物の生息地などが描き込んである。

 大きい方は依頼を受けた際、計画を立てるために使い、小さい方は移動中に道や野営場所を確かめるために使う。

「植物図鑑と魔物図鑑────こちらも見せていただいても?」
「ええ、どうぞ」
「これは何ですか?」
「え?ああ、それは、見たいページがすぐに開けるように、つけてあるんです」

 ジグに訊かれたのは、樹皮で創ったクリップタイプのブックマークだ。

 この世界の紙は、魔物の鞣革から作るので分厚い。私が創ったあまり出来の良くないクリップでも外れ難いので、十分役に立つ。

「これまた…、すごい書き込みですね」
「この植物図鑑、どのページにも、びっしりと情報が書き込んでありますね…。どのような場所に生えるのか…、一番良い採取の仕方…、どんなことに利用できるのか────」

「魔物図鑑の方もすごいな。生息地や習性───弱点や急所だけでなく、解体するにあたって何処にナイフを入れればいいのか、ナイフを入れる際の注意点だけでなく、どの部位がどのように重要なのか───本当に事細かに記録してある」

 さっきから何か────皆して、やけに大げさ過ぎない?

「いや、でも、冒険者は情報が命ですよ?こんなの、皆やっていることだと思いますけど…」

「リゼラ様…、確かに、大きな依頼を受けた場合は、事前に下調べして、地図に目的地までの道を描き込むことはあります。ですが、もっと大雑把ですし、ここまで描き込む人はいないです」
「そうですよ。図鑑だって、持ってすらいない者がほとんどです。リゼラ様のようにすぐに情報を書いておける筆記具は持っていないですし、そもそも、文字の読み書きだって出来ない者の方が多いですから」

 ジグに言われて、そういえばそうだ────と気づく。

 あれ?それじゃあ────『冒険者は情報が命』というのは、誰から教えてもらったんだっけ…?

『冒険者は情報が命だ。どんなに実力のある奴でも、下調べをしなかったばかりに命を落とすことだってあるんだ。いいか、どんな些細な情報もバカにしちゃいけない。聞いたり、見たり、気づいたりしたら、すぐに書き込むようにしろ』

 渋い声とセリフは思い出せるんだけど、顔が出てこない。

 そこで、私はおかしなことに気づいた。このセリフ────“日本語”だ。

 そして、私は思い出した。

 これは、あれだ────“お兄ちゃん”が見ていたラノベが原作のアニメ。“冒険者養成学校”に入った主人公が、“ダンジョン攻略”の授業で聞いた、教師役のベテラン冒険者のセリフだ……。

 え、じゃあ、何───私
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