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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第九章―才能と価値―#1
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ツを作ることはお話ししたでしょう?色々なフルーツを試していて、そのとき、思いついたんです」
「リゼラ様…、こちらは────」
開いたままのトランクの中に入っている何かが気になったようで、ジグが躊躇いがちに訊いてきた。
「何ですか?」
「…この地図、見せていただいても?」
「?ええ、いいですよ」
ジグは大小二つの地図のうち大きい方を手に取り、畳んであった地図を厨房のテーブルに広げた。
「これは───」
地図を広げたジグだけでなく、それを覗き込んだレド様とレナスまで、何故か絶句している。
「あの…、どうしたんですか?」
「リゼラ様、こんな大きな地図を何処で手に入れたんですか?」
「え?ああ、ほら、この地図を元に自分で作製したんです」
私はもう一つの小さい方の地図を指し示す。
この小さい地図は冒険者ギルドと商人ギルドの共同で作製したもので、冒険者か商人しか手に入れることは出来ない。
「……ご自分で?」
「ええ。この小さい地図の3倍の大きさで作ると決めて、紙もそれに合わせて造って、計算して拡大したんです」
これが結構大変だった。懇意にしている職人さんにまず“定規”を創ってもらって、自分でコンパス擬きを創って────墨果筆で何度も下描きして見比べて、何度も描き直して、やっと満足いくものを作ったのだ。
「自分で計算して…、こんな正確に?」
ジグは、テーブルに広げた地図と小さい地図を、見比べながら呟く。
「いや…、それより───この物凄く細かい書き込みは────」
そう呟いたのはレナスだ。
この大きい地図には、私がこれまで冒険者として集めた情報が書き込んである。主要な街道だけでなく、枝道など仕事で一度でも通った道は、どんなに小さな道でもすべて描き込んでいる。
「すごいですね、こんな細かく…。この普通の線と点線はどういう違いなのですか?」
「普通の線の方は、ちゃんと距離や道の幅や形を計測して描き込んだものです。
点線の方は、護衛などの仕事で通っただけで、計測している暇がなくて、通った時の感覚とか、かかった日数で目測で描き込んだので、あまり正確ではないんです」
「…計測、ですか?」
「ええ。こう地面に手をつけて、地中の魔素を探るんです。そうすると、道の幅や形、それに大体の距離が判るので、方位計で方角も確かめながら記録します」
墨果筆で筆記帖に記録しておいて、後で地図に描き写すようにしている。
「そんなことが───可能なのですか?」
レナスだけでなく、レド様やジグも驚いているようだ。
確かにこれは、誰にでも出来ることではないかもしれない。
これは────幼い頃、森で採取するときに身につけた術なのだ
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