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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第八章―護るべきもの―#2
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 舞を彩るのは、大叔父の横笛だ。細く────でも甲高く響くあの音色が、思い出される。

 私は、無意識に小太刀の鞘を払い、耳の奥に鳴り響く笛の音に合わせて、足を踏み出す。

 舞と言っても、刀術の型をまるで連なるように辿っていくだけだ。前世で何度も何度も重複して身体に覚え込ませた型は、何も考えなくても、辿れた。

 ああ、そうだ────私はこんな風に舞っていた。

 目の前にあの暗闇と桜吹雪、そして、キラキラと煌く光の粒子が見える気がした。懐かしい光景だ。

 そうだった。前世の私は、他の人には見えないものが時折見え、舞っているといつも神域に光の粒子が桜の花びらに混じって見えたものだ。誰に聞いても、そんなものは見えないと言われたけれど。

 私は秘かに、それを“神気”と呼んでいた────


◇◇◇


 舞い終わっても、私はまだ記憶の中の────あの神域にいるような感覚が抜けなかった。

 もしかしたら、ここは夢の中で、あの記憶の中の世界の方が今も現実なのではないか────そんな考えすら過る。

 ふと顔を上げると、レド様、ジグ、レナスの三人が、何故か呆然とした態でこちらを見ている。

 どうしたんだろう────そんな疑問が湧き上がったのもつかの間、私は視界に漂う“神気”に気づいた。

 え、何で?────何でこれがまだ見えるの?

「リゼ?どうした?」

 パニックに陥る私に気づいたレド様が、駆け寄ってくる。

 レド様を取り巻いている“神気”に似た強く煌く光の粒子に、さらにパニックになる。ジグにもレナスにも、レド様ほどではないが煌く光の粒子が取り巻いている。

 これ…、もしかして────レド様が仰っていた、性根が具象化されて見える現象…?

 それに────辺りを漂うこの“神気”は…、もしかして魔素?

「え、ええっ、どうして見えるの!?」
「リゼ!?」
「レ、レド様っ、どうしてか急に、レド様と同じように魔素とか人の心根が見えるようになってしまったみたいで…っ」
「リゼ、落ち着け」

 レド様に強く肩を掴まれ、正気に返る。

「何か、心当たりはないのか?」
「前世を思い出しながら────舞っていたせいでしょうか…。
多分、これは前世の私に備わっていた“霊視能力”ではないかと思うんです」

 そうだ────“霊視能力”。

 前世の私は、神域での光の粒子や、街中で見かける靄みたいなものが、気のせいに思えなくて、調べてみたんだっけ…。と言っても、ネットや文献を当たる程度だったけど。

 霊視能力で思い出した。【現況確認(ステータス)】に記載されていたアレだ…!【固有能力】という欄に記されていた【(アストラル)(・ヴィジョン)】。


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