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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第八章―護るべきもの―#2
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、レド様に感心したように言われ、レド様が何に感心しているのか解らず、私は首を傾げた。

「この支援システムを、本当によく使いこなしている。俺だけではこうはいかなっただろうな」
「そうですか?」
「ああ。契約が成功した2度の例で、『居場所が判るようになった』としか伝えられていないのは、もしかしたら、他にも出来るようになったことがあったのに、解らなかっただけだったのかもしれないな」

 確かにそれはありうるかも…。

 前世の記憶があるから、私は何となく使っているけど、現在の文明しか知らない人たちからすれば、こんなことが出来るとは思いつかないかもしれない。


◇◇◇


 ジグが、レド様に向かって、素早い動作でナイフを投げる。
 レド様がそれを難なく片手剣で弾くと、その隙に距離を詰めていたレナスが、レド様に短剣で斬りかかる。
 レド様は半身ずらしただけでそれを躱し、レナスに剣を振り下ろした。
 レナスは次の瞬間には後ろに跳び退り、それを避ける。それを追おうとしたレド様に、ジグのナイフが襲う。

 なるほど、ジグは投げたナイフを【遠隔(リモート・)管理(コントロール)】で手元に戻し、再び投げているのか。これは思いつかなかったな。弓矢で応用できるかもしれない。

 そんなことを考えながら、三人の手合わせを横目に、私は刀の習練をすべく、元々は予備の双剣だった対の小太刀を取り寄せる。


 前世の私が修めた刀術は、一刀流、小太刀二刀流、小刀二刀流、そして薙刀術だ。

 中でも得意だったのは、小太刀二刀流だった。年に2度行われる、神に剣舞を奉納する神事で、舞を任されるくらいには、定評もあった。

 まあ、命を落とす直前に行われた秋の奉納祭では、就職活動や受験を控えた従姉たちの代わりに、一刀流とか他のも全部、私が舞ったんだけど。

 神社の一角に設えられた舞台で行う一般人に公開する舞では、刀ではなく扇を手に舞うのだが、神社の裏にあった山の中腹にある神域で行う非公開の舞は、真剣を手にして舞う。

 対の小太刀をそれぞれ左右の手にとると、その時の光景が鮮やかに甦ってきた。

 神事は秋と春先に行われる。

 前世の私は、特に春先に行われる神事で舞うのが好きだった。

 春先の神域は────四方を囲う桜が満開で、いつも桜の花びらが、ひらひらと降り注いでいた。
 一般公開の舞は昼に、神域での舞は夜に行うことになっていて、夜闇の中、ライトアップされた神域で、桜が降り注ぐ中を舞うのだ。

 気を付けていないと花びらで滑るから、秋よりも一層気を引き締めて舞わなければいけなかったけれど、それでもあの中で舞うのは格別だった。

 不思議と桜の開花がずれたり、悪天候になったりすることは一度もなかった。

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