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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第八章―護るべきもの―#1
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───と心の何処かで思う。

 だけど、好きだという気持ちも、大事だという思いも、護り抜くという決意も、自分の中に確かにある。それどころか────大きく占めている。

 レド様は、前世のことを───“一度目の人生”を、まったく覚えていないらしいと聞いて、私は安堵した。

 ジグとレナスと話し合って、この件はレド様には告げないと決めている。

 もう“一度目の人生”からは外れてしまっているのだから、レド様は知る必要はないし、それが引き金となって、万が一、思い出してしまったら────聞いただけでも辛いあんな悲惨な出来事を、絶対に思い出して欲しくなどない。

「……リゼ?」

 レド様の心配そうな声で、私は我に返った。

「ごめんなさい…。昨日、少し悲しい夢を見てしまって」
「悲しい夢?────どんな夢だ?」
「いえ…、過去のことを少し…」

 レド様に明らかな嘘は言いたくなかったので、言葉を濁す。

 いつの間にか────レド様の腕が私の背に回され、抱き締められていた。

「俺も、リゼも…、これまで色々あったし─────それは変えられない。だが…、これからは、俺にはリゼがいるし、リゼには俺がいる。だから────大丈夫だ」

 レド様は、きっと私が生家の仕打ちを夢に見たと考えて、そう言ってくれたのだろう。でも───その言葉は、今の私の心境に明るく響いた。

「ありがとうございます、レド様…。そうですよね…。今の私にはレド様がいるし────今のレド様には私がいる」

 “一度目の人生”では、レド様の親衛騎士は私ではなかったはずだ。今世では、私が絶対にレド様を不幸な状況になどさせない。

 しばらくそうして────レド様と抱き合っていた。

 レド様と抱き合っていると、いつもはドキドキし過ぎて沸騰しそうになるのに、今日はその温もりと鼓動が安心感をもたらしてくれる。

 レド様の前世のことで昂っていた感情が、少しずつ静まっていった。思考も冷静さを取り戻す。

 ─────あれ、私、今レド様に抱き着いてない…?

 レド様に自分から抱き着いている現状を認識して、安心感は吹き飛び、一気に熱が上がって自分の鼓動が荒くなった。

 慌てて腕を放して離れようとしたのだけど─────

「レ、レド様?」

 レド様に強く抱き込まれ、離れることが出来ない。

「せっかくリゼから抱き着いてくれたのに、まだ離したくない」
「ちょっ、何を言っているんですか…っ。は、放してください。ほら、朝食の準備をして、鍛練に行かないと…っ」
「嫌だ」
「レ、レド様っ」

 結局、朝食は鍛練の後で作る破目となったのだった─────


◇◇◇


 今日は、ロルスさんが到着する予定だ。ロウェル
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