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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第七章―拠りどころ―#5
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まれていたこともあり、皇妃一派には────」

「待って────レド様の神託が…、違った?」

「はい。“一度目の人生”では、ルガレド様の神託は『将軍』だったそうです」
「…セアラ側妃様は、そのことについてどう考えていたんですか?」
「いえ、解らない────と」

「では、セアラ側妃様の神託は?」
「セアラ様の神託は、一度目でも今世でも『騎士』でした」

 セアラ側妃は今世では脆弱だったのに────下された神託が『騎士』…?

「リゼラ様?」
「あ、ごめんなさい…。────そのために、レド様が皇妃一派にお命を狙われるようになり、セアラ側妃様はお命を落とされたのですね?」

 セアラ側妃────セアラ様は、どんなにか無念だっただろう…。

 レド様を護るために生まれ直して、でもそれも志半ばで、そのお命を落とされて────想像するだけで辛い。

「その通りです」
「後は────ご存じの通りです。皇妃一派の謀略によってファルリエム辺境伯が国を護ってお亡くなりになり、ルガレド様は孤立させられました」

「我々は、亡きファルリエム辺境伯は元より───強制的に解雇されたラムルたちに、セアラ様が語った悲惨な運命からルガレド様をお護りすることを任されました。ですから───万が一にも存在を知られ引き離されることを恐れたのです」

 だから…、徹底的に気配を消して潜んでいた────レド様にさえ気づかれないように。

「…8年前のミアトリディニア帝国の侵攻は、ジェミナが皇妃となったことで起こったことですよね。
先代ベイラリオ侯爵が、一度目とは違い今世では病死した理由は解っているのですか?」
「いいえ。これに関しては、セアラ様が亡くなった後に起こったこともあり、何がどう作用してそんなことになったのか見当もつきません」

「では────8年前、ミアトリディニア帝国で軍閥の中でも強硬派だったヴァールディ公爵が、ファルリエム辺境伯軍に破れて公爵自身も負傷した上、敗戦の責を負って失脚し───それ以来、ミアトリディニア帝国は平和主義に傾いていますが────それでも、セアラ側妃様の“一度目の人生”において起こったという大戦が勃発する恐れはありますか?」
「“一度目の人生”でルガレド様が戦ったのが、まさにそのヴァールディ将軍と聞いております。おそらく、一度目とまったく同じ戦争はもう起こらないと思います」

「そうですか…。それなら、“一度目の人生”に囚われ、ミアトリディニア帝国ばかりを警戒するのは危険ですね。勿論、警戒はするつもりですが、もっと国内の情勢、他の周辺国の内情などにも目を配るべきかもしれません。
“一度目の人生”からは大分外れてしまっていますし、ジェミナ皇妃という闖入者もいますから────もう何が起こるか判らない」
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