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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第七章―拠りどころ―#4
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ンと来ないようで、首を傾げる。
「…アルドネ王国です」
私が答えると、レド様だけでなく、ジグとレナスも驚いてこちらを見る。
「知っているのか、リゼ」
「ええ。私が知るザーラル=ラメルクと同じ人物なら───アルドネ王国現宰相閣下になります」
「アルドネ王国の宰相?───本当か?」
「はい。おそらく間違いありません。この邸の設計もマントや眼鏡の発案も、あの方がしたというなら納得です」
「その言い方───ということは、リゼラ様はお知り合いなのですか?アルドネ王国の宰相閣下と…?」
「はい。冒険者の仕事上で関わったことがありまして。…ただ、記憶持ちというのは初耳ですけれど」
アルドネ王国とは、現在、このレーウェンエルダ皇国はほとんど交流がない。
国境も接しているわけではないので、4年前にアルドネ王国で政変があったことも、その立役者となった宰相のことも、こちらには詳しく伝わっていなかった。
三人が知らなかったのも無理はない。
「ザーラルさんなら信用出来るとは思いますが…、守秘義務に関する契約はされたのですか?」
「はい。魔術で契約を行ったと聞いております」
ザーラルさんの人格はともかく、彼はもう一国の宰相だ。国の利権が絡めば、どう転ぶか判らない。
レド様が神眼を持つことを利用しようとしたり、万が一敵対した場合に神眼の性質を知られていることが悪影響を及ぼすかもしれない。
「そのザーラルとやらは───どんな男なんだ…?」
外国の宰相だからだろうか。レド様は不信感でも持ったような表情だ。
「どんなって…、そうですね。ゼアルム皇子殿下に少し雰囲気が似ています。柔和で人好きのする印象なんですが、何処か油断できない人というか───いい人ではあるんですけどね」
ああ、そうか。だから、私、ゼアルム殿下が油断ならないような気がしたんだ。何処か、ザーラルさんに似てるから。
「そいつ…、若いのか?」
レド様の質問に、ジグが答える。
「いえ。このお邸を建築していただいた時点で、もう三十に近い年齢でしたから…。25年前でそのくらいということは───もう五十は過ぎてますね」
え?───どういうこと…?
「そうか…」
レド様の安堵したような声が、遠くで聞こえたような気がした。
「リゼ?」
「あ、すみません。ちょっとザーラルさんと会った時のことを思い出していたので…」
顔を上げると、ジグとレナスと目が合う。二人の表情からは、何も読み取れない。
「…レド様、もう夜も遅いです。そろそろお開きにしませんか?」
私はジグとレナスから視線を外し、レド様に顔を向ける。
「そうだな。今日のところはもう休むか」
◇◇◇
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