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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第七章―拠りどころ―#4
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に通路や空間があると気づかれないように計算して設計されたと聞いております」

「無名の建築家だと聞いていますが、知れば知るほどすごい方ですね。このフェイクの窓も、もしかして計算ですか?」
「どうして、そう思われるのですか?」
「いえ。フェイクだと解っているはずなのに、どうしても窓があると外壁に面しているような錯覚を起こしてしまうんですよね。そのために、大抵の人は窓の向こうに通路があるとは考えもつかないと思うんです。だから、その錯覚すら計算に入れていたのかな───と」
「貴女はやはり賢い方だ。ええ、その通りです」

 ジグが感心したように、頷く。

「本当に賢いな、リゼは」

 いえ、賢くないです。その錯覚に騙されたうちの一人なので、お願いだからそんなに感心した表情で見ないでください、レド様…。

 いたたまれないから、話題を変えよう…。

「その精霊樹のマントは誰が?」
「その建築家です。博識で、発想力もすごくて────この窓も彼が発明した魔道具なんです」

 そこで、レナスがレド様に話を振る。

「ルガレド様、幼い頃、神眼に片眼鏡(モノクル)をつけていたのを覚えていらっしゃいませんか?」
「そういえば───つけていたような気がする」
「あれも、その建築家の発案のものだったんです」

「…それは、どのようなものだったのですか?」
「神眼は、瞼を閉じても見えてしまうものだと聞いております。眼帯をつけたとしても、壁と同じ扱いになり、ただ重なって見えるとか。四六時中、はるか遠くまで見通し続けることがルガレド様の負担になるのではないかと心配したセアラ様が相談したところ、提案されたのがその片眼鏡(モノクル)です。それは濃い色のついた硝子が嵌められていて、それを通すと夜の景色のように見えるそうです」

 つまり、“サングラス”のようなものかな。

「なるほど。確かに色鮮やかな景色を認識し続けるより、脳に対する負担は軽そうですね」
「…リゼラ様は、聞いただけで解るのですか?」

 レナスが驚いたように、目を見開いた。

「え?ああ、前世の世界で、そういう眼鏡があったんです。だから、どういったものなのかは解りますし、それをつけると景色がどういう風に見えるかも知っています」

「そういえば───リゼラ様は記憶持ちでしたね」
「記憶持ちというのは、すごいですね。その建築家も記憶持ちだと言っていました」
「…そうなのですか?」

 それだけの才能の持ち主なら、きっと今頃は大成しているだろう。私も知っている人だろうか。

「その建築家の名前は判りますか?」
「ええ。確か…、────ザーラル=ラメルクと」

「ラメルク…。外国───ドルマかアルドネの者か?」

 レド様は名前を聞いてもピ
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