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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第七章―拠りどころ―#2
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、それは扉になっているようだった。私は短剣を抜き、短剣の刃先を使って扉を開く。

 そして、あらかじめ取り寄せて腰に提げていた自前のランタンを手に取った。ランタンは【最適化(オプティマイズ)】で古代魔術帝国のハイテク仕様になっているので、摘みを捻るだけで灯が点る。

 ランタンで扉の先を照らしてみたが、見る限りは誰もいない。扉は小さいので、私は身を屈めて潜るようにして、扉の中に入った。

 人一人が通れるくらいの通路が、ヌックスペース側に向かって伸びているのが見て取れた。ランタンで辺りを照らしてみたが、人影は見当たらない。

≪レド様、大丈夫です。入って来てください≫

 長身のレド様は、這うように入って来た。

 通路を進むと、すぐに曲がり角に当たった。通路はヌックスペースを囲う形で通っているみたいだ。

 曲った先の通路───つまりヌックスペースとサンルームへ続く森の小道風の廊下の外側に造られたその通路は、先程よりも広く、人が二人並んで歩けるくらいの幅があった。

≪生まれてからずっと住んでいたが…、こんな通路があったとは全然気づかなかった≫
≪7歳までは神眼は見えていたんですよね。神眼でも視認できなかったのですか?≫
≪この壁…、模様も凹凸もないだろう?神眼では重なって見えるから、手前の壁と同化して見えていたのではないかと思う≫
≪なるほど…≫

 ということは───レド様の神眼の性質を見越した上で造られた可能性もある。

 警戒を怠らずゆっくりと通路を進んで行くと、途中に、梯子に近い急角度の階段が現れた。手摺はない。

 階段の向こうにも通路は続いてはいるが───階段の上方から人の気配が感じ取れた。

≪この階段を上ったところに、人が二人いる。…性根は濁ってはいない≫
≪…敵意も殺気も感じません。上りますか?≫
≪ああ≫
≪では、念のため、私から上ります≫

 神眼で確かめた後だからか、レド様は私の言葉に今度は反対しなかった。

 思ったよりも長いその階段を上りきると、そこには通路とは違う、部屋と呼べる空間が広がっていた。位置的には、私の部屋の天井辺りだろうか。

 そこには、【案内(ガイダンス)】の情報通りに、黒尽くめの格好をした年齢不詳の男性が二人、佇んでいた。

 ランタンの灯だけでは、髪の色や眼の色までは判らなかった。顔立ちは凡庸───というより、人の記憶に残らないよう、雰囲気をぼかしている?

 レド様が階段を上がってきて、私の隣に並び立ったところで、二人の男性は片膝をついた。

「お待ちしておりました、ルガレド様」
「長い間ご無沙汰しておりまして、大変申し訳ございません」

 膝をつく二人を見て、レド様は右眼を見開いた。

「お前たちは───
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