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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第七章―拠りどころ―#2
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在───この邸の中に、俺たち以外の何者かが存在しているか?≫

────はい、隠し通路の先にある隠し部屋に、成人男性が2人、存在しています────

案内(ガイダンス)】の答えに、私たちは息を呑む。全然気づけなかったことに戦慄が走る。

≪……どう思う?リゼ≫
≪この邸のセキュリティーをそう簡単に破れるとは―――しかも破ったことすら認識させずに出来るとは思えません。おそらく、【最適化(オプティマイズ)】によって邸が変わる前から潜んでいたのではないかと思います≫
≪敵だと思うか?≫
≪…判りません。ただ、レド様にさえ気づかれずに潜んでいられた者なら、寝首を掻こうと思えばいくらでも出来たはずです。こんな初歩的なへまをするとも思えません≫

 考えられるとしたら────ファルリエム辺境伯が残したレド様の護衛だ。

 だけど、ファルリエム辺境伯が亡くなって、もう8年になる。ずっと潜んでいたなんて、ありえるだろうか?

 それに、レド様のこの苦境で、姿を現さないというのも疑問が残る。


≪レド様、とにかく私が確認してきます≫
≪それなら、俺も行く≫
≪駄目です。万が一敵だった場合、危険です。どうか待っていてください≫
≪だったら猶更(なおさら)だ。リゼ一人で行くのは、絶対に許可できない≫
≪レド様────私は、レド様の婚約者である前に親衛騎士です。レド様を護るのが役目なんです≫

 私の答えにレド様は黙り込み、少し何かを考えた後、口を開いた。

≪……俺たちを分断するのが敵の目的だった場合、俺が一人で残る方が危険ではないか?≫
≪それは───≫

 確かにその可能性もある。でも…、もし本当に敵だった場合、敵地に自ら飛び込んでいくことになる。

 レド様さえ把握していない場所なのだ。通路や部屋の規模、何処に繋がっているかなど判っているなら、まだ違ったのだけれど─────

≪それに、俺は敵である可能性は低いと思っている。リゼもだろう?≫
≪…はい。ですが、可能性が低いというだけで、まったくないわけではありません≫

 レド様は一息()いてから、私に言い放つ。

≪では────これは主としての命令だ。二人で確認に行く≫


◇◇◇


≪────ここだな≫

 念のため、あまり音を立てないようにして応接間に入ると、カーテンと揃いの上飾りのついた窓型ライトの隣に立つ、角ばった柱の腰壁の一部に隙間が開いていた。

≪レド様、少し下がっていてください≫

 レド様がほんの少し距離を開けたのを見届けると、私はその周辺の気配を探る。誰もいないと思ったが、今まで感じ取れなかったことを考えると、警戒心は解けない。

 腰壁の隙間が開いている部分をよくよく観察してみると
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