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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第七章―拠りどころ―#1
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外の場所にいるときは一緒にいてもいい────ということにしませんか?」
「それはいい考えだな。それなら、悩まずにリゼの傍に行ける」

「あ───図書室で執務や学習をしているときを除いて、ですね」
「………まあ、それは仕方がないか」

 私が追加すると、レド様は少し不服そうに息を吐いた。

「では…、今は?」
「今───ですか?」
「ああ。この決め事は今度からだろう?今は一緒にいてもいいのか…?」

 勿論、私は満面の笑みで(こた)える。

「一緒にいて欲しいです」


◇◇◇


「あの…、一緒にいては欲しいのですが────この体勢はちょっと…、その、困るというか…」

 何せ、レド様に抱き抱えられている状態なのだ。心臓が脈打ち過ぎて、寿命前に使い潰してしまいそう…。

「本を読んでいるときは、自分からすり寄って来たのに?」

 おかしそうにレド様が言う。

 そう言われて思い返してみれば、仲間を失った主人公が慟哭(どうこく)するシーンで、感情が昂って何か温かいものに(すが)りついた覚えが…。

「いや、その…、それは無意識というか────状況が判っていなかったというか…」

「リゼは、俺以外の前で本を読むことは禁止だな」
「え?」
「呼びかけにも反応しないくらい集中するなんて、危ないだろう。俺がこうやって横に座って抱き抱えても気づかなかったくらいだしな」

「え、いや、さすがに他の場所ではこんな風にはなりませんよ?いつもはもっと、何かやっていても────寝ているときですら、常に気を張っている状態ですし…。あれ───そういえば、こんなに何かに集中できたことは初めてな気がします…。
 イルノラド公爵邸は勿論、孤児院でも、宿屋でも、何かあったらすぐ対応できるよう、気を張らずにいられないですし────ロウェルダ公爵邸では、シェリアの家ということであまり気を張らずにいられますけれど、ここにいるほどは気が抜けないですから…」

 言いながら、自分でも驚いてしまう。

 勿論、古代魔術帝国の技術がもたらすセキュリティーによる安心感もあるだろう。でも───それだけではない気がする。

 セアラ側妃の部屋も、最初は広過ぎて気後(きおく)れしたけれど、夜は気兼ねなくぐっすり眠れているし───【最適化(オプティマイズ)】されたせいなのか、今は“自分の部屋”と認識できている。

 応接間とダイニングルームに関してはまだよそよそしく感じてしまうけれど、それ以外の場所───特にサンルームと厨房は、確実に寛げる場所になっている。

 レド様が、横から抱き抱えるのではなく、こちらに身体を向けて、正面から私を両腕で抱き締めた。

「レド様?」

「この邸は…、皇妃たちにどんな
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